サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
チームの継続性とゆるい師弟関係。
現U-19は「あの世代」に似ている。
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byAFLO
posted2016/10/26 08:00
U-19の攻撃、チームの雰囲気を司る堂安律。「調子乗り世代」は、いい流れにも乗ろうとしている。
選手が監督を恐れない、ゆるやかな師弟関係。
また、'06年のチームと今大会のチームにもう1つ共通点があるように思う。
それは指揮官と選手達の関係だ。ここまで書いてきたように、坂井でも堂安でも、指揮官を敬いこそしているが恐れてはいない。自分の意見を表明することもできる、ゆるやかな師弟関係。それは'06年の吉田監督時代のチームにもあった。
吉田は「ヤッコさん」の愛称で選手から呼ばれ、息を抜くための食事会で槙野智章や安田理大といったやんちゃざかりの選手から「監督俺らのことが好きなんでしょ」といじられた……という類のエピソードは事欠かなかった。現チームにも、似た雰囲気がある。
選手たちの現場の判断を、監督が見守る。
たとえば内山監督が、今大会のターニングポイントにあげるカタール戦。それまでの2戦に比べ攻撃がスムーズに運び、守備だけでなく攻めて勝つことができるようになったこの試合、選手がもっとも口にしたのは「ピッチ内での判断」だった。
初先発した市丸瑞希がいう。
「スカウティングはほぼ参考程度。試合に入ってからは自分たちで相手を見ながらって、いつも言ってるので。監督の判断もありますけど、やるのは自分たちなので、監督の言葉も参考にしつつ、監督が見えてないところを使ってみたりしました」
2トップで活躍した岩崎悠人も「今日の試合は、ずっと話しながらプレーしようというふうに言ってて。サイドバックが持って時間ができた時に、小川(航基)くんが『落ちろ』って言ったり『抜けろ』って言ったり。そういう声かけ、コミュニケーションをとることを意識していたので、すごくやりやすかったです」
ピッチの中で、問題点は発見され解決され、ベンチはそれを見守る。このチームらしいスタイルがこのターニングポイントで確立されたのではないか。
ともあれ、なんであれ、世界への扉は開いた。大きな目標を得たこのチームがどのような成長を遂げるのか。まずはそれを楽しみにしたい。