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CS敗退の伊東監督、滲む無念の思い。
「ロッテの野球」とはなんだったのか? 

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永田遼太郎

永田遼太郎Ryotaro Nagata

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2016/10/11 17:30

CS敗退の伊東監督、滲む無念の思い。「ロッテの野球」とはなんだったのか?<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

ソフトバンクに敗れ、左翼スタンドに挨拶後、引き上げてくる伊東監督とロッテの選手たち。

春先、首位を争っていた頃のロッテの強みは?

 今年の春先にソフトバンクと首位を争っていた頃の“強い”ロッテの野球を振り返る。

 当時はその要因について投手、野手、首脳陣の全員が口を揃えて「ブルペン陣の踏ん張り」を挙げていた。

 先発投手が崩れても、中継ぎの藤岡貴裕なり、南昌輝なりが中盤を抑え、終盤は松永昂大、益田直也、大谷智久、内竜也、西野勇士らが日替わりで登板し、万全の状態で控えていた。

 これが他球団にとって脅威でもあり、味方の野手にとっても心強く「逆転のロッテ」の異名がついた。

 しかし、6月の交流戦以降は彼らブルペン陣に故障者が相次ぎ、首位争いからズルズルと後退。ソフトバンクには差を広げられ、日本ハムには並ぶ間もなく抜き去られた。

 あえて「ロッテの野球」という言葉を使うなら「強力なブルペン陣と終盤で逆転する攻撃力」ということになるが、そういう意味でこのシリーズは、中継ぎ陣が故障明けで万全と呼べる状態ではなかったし、それに呼応するように打線も「線」になっておらず、点でしかなかった。

伊東監督は、やりたい野球をやらせてもらっているのか?

 CS開幕前の9月半ば、西武ドームで中継ぎの一角である内竜也に声をかけた。

 彼は言葉少なであったが、7月の登録抹消の原因となった右肘の状態について訊くと、言葉を濁すような対応で肯定も否定もしなかった。何も不安がなければ、そういう態度はとらないだろう。

 ここからは想像でしかないが……彼の状態は、今回のシリーズ、とても万全といえる状態ではなかったのではなかろうか。

 初戦の決勝点を奪われた8回裏の攻防も、故障者をゆっくり完治するまで待てない千葉ロッテの現状が背景にはあるように思えてならない。これは2戦目でタイムリーを打たれた西野にしてもそうだ。

 そもそも伊東監督はロッテでやりたい野球をやらせてもらえているのだろうか?

 前述の試合後の会見でこうも話している。

「やっぱり僕は強いチームを作りたい。勝てるチームを作れなかったという点では僕の責任もありますので、来年はこの仕返しをしますとはこの段階ではまだ言えないですね。そこまで自分の中ではまだ整理がついていないので……」

 この言葉の意味を考えると「(上位2球団に比べて)戦力が足りない」「もっと補強が必要」ともとれなくはない。

【次ページ】 一人一人が倍以上やらないといけないレベル差が。

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