球道雑記BACK NUMBER
CS敗退の伊東監督、滲む無念の思い。
「ロッテの野球」とはなんだったのか?
posted2016/10/11 17:30
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
NIKKAN SPORTS
まるで昨年の再現VTRを見ているような錯覚に陥った。
先制点を奪って主導権を握ったはずの千葉ロッテが、福岡ソフトバンクにあっという間に追い付かれ、結果、逆転負け。そんな試合が2試合続き「下剋上」は雲散霧消した。
これで昨年からCS(クライマックスシリーズ)での同対決は5連敗になる。
同じ相手に同じようにやられる。応援するファンも、ベンチで見守る首脳陣もストレスが溜まる今年の2試合だったのではなかろうか。
第1戦はソフトバンク先発の千賀滉大の前に7回111球4安打12奪三振。点を奪ったのは初回の清田育宏とデスパイネの2本の本塁打のみ。第2戦はバンデンハークを相手にこれまた清田の先頭打者本塁打の1点のみ。先発投手を攻略できないどころかタイムリーは2戦共に出なかった。
「ロッテの野球」とは、どういうものなのか?
バックステージに引き揚げてきたロッテ・伊東勤監督は記者の「ロッテらしい攻撃が……」の質問に対して次のように答えた。
「出来ていないんだよね。ホームランでしか点が獲れていないので、この2試合に関してはサインもほとんど出せていないですし、野球自体は僕自身面白くなかったです。そういう野球をやらせてもらえなかったのはシーズン中もそうだったんですけどね、完全にバッターの力負けです」
そこでふと疑問に感じた。ロッテらしい野球ってなんだろうと……。
CS開幕前に選手、監督の口からファールで粘って、先発投手の球数を稼いで、終盤で相手を攻略するような話を何度か耳にした。
実際、このような戦術で6月17日の対巨人戦(東京ドーム)で菅野智之を攻略。7月10日の対北海道日本ハム(札幌ドーム)でも大谷翔平を相手に7回途中(6回1/3)で123球を投げさせて5点を奪っている(大谷の自責点は3)。
しかし、これがロッテの野球かと問われると正直わからない。そう断言できるほどこれという戦術が確立されたチームでは……まだない。