サムライブルーの原材料BACK NUMBER
日本の司令塔候補・大島僚太に聞く。
磨いた技術は「柔」、心の中は「剛」。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byKiichi Matsumoto
posted2016/10/02 11:00
クラブ公式サイトで憧れの選手を「デコとピルロ」と挙げている大島。中盤のコンダクターとしての飛躍を誓う。
狭いエリアでの練習で、体の使い方を磨いた。
――機を見てどんどん前に出ていく積極的なプレーが大島選手の特長だと言えます。リオ五輪でもそうやってチームの得点に絡んでいきました。初戦のナイジェリア戦、前半8分に南野拓実選手がPKを取った場面。パスカットして興梠慎三選手からリターンを受けて一度ボールを失いながらも、また相手から取り返してドリブルから南野選手へのパスにつなげています。あのシーンは今の大島選手を語るに、象徴的なシーンかなと思うのですが。
「慎三さんからのボールを失って、ちょっとミスったなと思ったんです。でもそこでうまく取り返すことができましたね」
――奪い返すのも、奪い返してからも速かった。
「やっぱりフロンターレは狭いエリアのなかでやっている練習が多いし、体の使い方を試せる場でもあるんです。だからチームでやってきていることを試合で出せているのかなとは感じます」
80%の力で守備に来たら、20%の力でかわせばいい。
――今年は相手と体をぶつけ合う場面でもサッとかわして前に出ていってチャンスをつくることが多いですよね。
「風間(八宏)監督からは『相手が80%の力で守備に来たら、こっちは20%の力でかわせばいい』と言われてきました。調子がいいときは、その感覚になります。相手が80%ぐらいでボールを奪いに来ても『やばい』みたいな感じは全然ないです。当たってくるだろうなって分かっておくことが大事なのかな、と。分かっていれば力を抜くとか、逆にここは耐えたほうがいいとか使い分けができると思うので」
――五輪のスウェーデン戦も味方のスローインから狭いところをくぐりぬけていって、矢島慎也選手の決勝点をアシストしています。
「あのときは(横にいた)慎三さんに当てようと思ったら、相手が消しにきたんです。そこで逆に(スペースが)空いたと思ってドリブルしようと思って持ち出したら、相手がかぶっていて味方が見えなかった。そこでもう1回ボールを出すと、慎也が見えたんで『助かったなあ』って思いました(笑)」