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サンウルブズ、初勝利は最高の良薬。
発案者エディーの志を今こそ考える。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAtsushi Kondo
posted2016/04/26 15:15
スタンドは満員とは言えなかったが、熱狂的な応援でフィールド上の“オオカミ”たちを後押しした。
では、エディー・ジョーンズの意見をどう具体化する?
エディー・ジョーンズ氏だけでなく、先週末だけで関係者から次のような様々な意見を耳にした。
「2017年のサンウルブズは当然のことながら、日本代表に近い形にしたい。いや、しなければならない」
「リーチ(マイケル/チーフス)やツイ(ヘンドリック/レッズ)のように、海外のスーパーラグビーのチームでレギュラーを張っている選手に関しては、海外でプレーしてもらった方がいいのではないか。それは去年のリーチが証明している」
「五郎丸(歩/レッズ)、松島(幸太朗/レベルス)のように、出場機会が少ない選手は、サンウルブズに入ってもらった方が強化につながる」
いずれの課題も協会、サンウルブズのマネージメント・サイドの力量が問われることになりそうな案件だ。
この1勝で、来年をどうするのかが見えてきた。
2019年のW杯に向けて、来年は重要な1年になることは間違いない。エディー・ジョーンズ氏は「一般論」として、こんなことを話していた。
「W杯を2年後に控えた時点では、前回のW杯のメンバーのうち、誰が生き残れるかどうか、判断しなければなりません」
つまり、どんなメンバーでW杯を戦うのか、青写真が見えてくるということだ。代表の練習期間が限られている以上、サンウルブズが選手のセレクション、青写真を描くにあたって重要な役割を担うことは間違いない。
次期HCに決まっているジェイミー・ジョセフ氏(現ハイランダーズHC)が、どのようなマネージメントを考えているかも気になる。
サンウルブズの1勝はようやく未来に向けての議論が出来る土壌を耕したようだ。
次戦は5月7日、東京・秩父宮ラグビー場で行われるフォースとの試合になる。
この一戦は是が非でもモノにしたいところだ。それがサンウルブズの魅力アップにつながり、最終的には代表の強化へと結びつく。
今年の戦いは7月まで続くが、来年に向けてのプランニングもより重要になってきた。