プロ野球亭日乗BACK NUMBER
野球賭博の自己申告者はいるのか?
処分軽減ともう一つ、必要なもの。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2016/04/15 11:00
処分軽減措置を発表した熊崎勝彦コミッショナー。特例措置は25日までの期間限定。
ギャンブル依存から抜け出す難しさ。
だとすれば同時にここでしっかりと考えなくてはならないことがある。それは先に復帰ありきではなく、違反を犯した選手たちがファンも納得した形でグラウンドに戻ってくるために、どういう道筋をつけていくのかということだ。
野球賭博問題だけではなくバドミントンの田児賢一、桃田賢斗両選手らの闇カジノ問題でもクローズアップされたように、彼らの賭博へののめり込み方はギャンブル依存症という一種の病気である。また、そこにつけ込まれる形で、反社会的勢力と接触していくことになる可能性も少なからずあったはずだ。そうなると自分の意思や力だけでは、なかなかこの連鎖から抜け出しきれないわけである。
しかも子供の頃から競技一筋で打ち込んできて、家業を継ぐとかそういうものがない限り、他の生活手段もおいそれとは見つけることはできない。
復帰のプロセスを作らなければ批判は避けられない。
現実には野球賭博で無期失格処分となった笠原将生は、巨人との契約解除後に野球賭博の仲介者だった飲食店経営者が面倒を見て、福岡・博多で飲食店を出店した。いま現在もNPBにより野球賭博常習者と認定された人物と、濃厚な関係が続いているわけである。バドミントンの田児の場合も競技からは“無期限追放”となり、所属のNTT東日本を解雇され、今後、どういう人生を歩んでいくのかは気になるところである。
一方、リオデジャネイロ五輪への出場を実質的に断たれた桃田には、どういう条件で東京五輪を目指す選手として再出発を認めるのかという問題も残る。ただ単に謹慎して、ある程度の時間が経てば処分が解除されるのか。それとも何らかの条件を設定して、大会復帰を認めるのか。処罰と同時にそのプロセスをきちっと作らなければ、再び批判の目にさらされることになるのも必至である。
これはプロ野球選手でも同じだ。
ただ単に自主申告したら処罰が軽減されるだけではなく、どういう形で復帰への道を作るのかということだ。