プロ野球亭日乗BACK NUMBER
野球賭博の自己申告者はいるのか?
処分軽減ともう一つ、必要なもの。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2016/04/15 11:00
処分軽減措置を発表した熊崎勝彦コミッショナー。特例措置は25日までの期間限定。
執行猶予期間を設けてみては?
そこで一つ思うのは、処罰の執行猶予期間というようなものを設けたらどうだろうか。
違反行為が発覚し、失格処分が決まっても、そこですぐに処分は行わずに2、3年の執行猶予期間を設ける。球団も契約解除するのではなく、1年程度は契約を停止し、別契約で球団の管轄下でトレーニングを行いながら、専門家によるカウンセリングを受けてボランティア活動など依存症から抜け出すための矯正期間を設ける。その後、契約は戻して競技復帰を認めるが、執行猶予期間は週に1度の面談や月に1度のカウンセリングなどを受けさせながら球団管轄下でプレーを続けさせる。
オフの間は別契約で球団が管理してもいいが、選手会(本来であれば1番、しっかりとこうしたケアをやらなければならない組織のはずである!)が引き継いでもいいだろう。とにかく一定期間は、年間を通してどこかが更生過程をきちっと管理しながら復帰するプロジェクトを組むのが大切だということだ。
もしその間に問題を起こせば、当然、失格選手としての処分が執行される。
ファンが納得できる形を。
断っておくが、統一契約書では選手はあくまで個人事業主で、球団が管理できる幅は限定的なものである。だからこそ今回の一連の問題は選手個人の不祥事であり、法律や協約に違反した選手は厳しく罰せられて然るべきである。
ただ、そうした厳罰主義だけですべての道を断つことが果たして正しいのか。きちっとした真相究明と厳罰という自浄作用を示すとともに、更生の余地のある選手には再出発の道も示す。そこで大事なのは、そのプロセスは多くのファンが納得できるものでなくてはならないということだ。それだけ厳しいステップを踏んでこそ、ファンも認め、何より本人がギャンブル依存症という病から完全脱却してグラウンドに立てるということになる。
前述したように選手はあくまで個人事業主ではあるが、球団からすればかなりの資本を投下した大事な商品でもあるはずだ。だからこそNPBと球団、選手会も1つになって、選手の更生、復帰へと手を差し伸べる方法を考えるべきなのである。