松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER

スコアと手応えはいつだって違う?
松山英樹、マスターズ初日の内実。

posted2016/04/08 11:30

 
スコアと手応えはいつだって違う?松山英樹、マスターズ初日の内実。<Number Web> photograph by AFLO

自ら「悪くはない」という5打差につけた松山英樹。走ると強いスピースを掴まえることはできるだろうか。

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舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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 予想されていたより早く雨が上がったマスターズ初日の朝。松山英樹は、白と緑が配されたキャップとシャツでオーガスタにやってきた。前日までドキドキ感は「半々です」と言っていたけれど、この日のウエアのチョイスには、グリーンジャケットに馳せる彼の想いが反映されているように思えてならなかった。

 ところで、この「反映」という言葉、「ショットは良かったが、それがスコアには反映されなかった」という具合に、トッププレーヤーたちがしばしば口にする常用語だ。もちろん、スコアカードに記入された数字だけが結果であり、詰まるところ、ゴルフは結果がすべてである。

 しかし、スコアカードに記された数字と選手の感じ方には、往々にしてズレがある。「いいショットがスコアに反映されなかった」というのは、その1つだ。

 今季のジョーダン・スピースは年明けのヒュンダイ・トーナメントで1勝を挙げたものの、以後はずっとこの「いいショットがスコアに反映されない」現象に苦しみ、そのせいで成績が振るわず、世界ナンバー1の座から滑り落ちた。

 だが、スピースのマスターズ初日はその逆だった。「アイアンショットはいまひとつだったけどパットが良かったおかげで、ずっと苦しんできたスコアリングがとても良くできた」。言い換えるなら「いまひとつだったショットがスコアに反映されずに済んだおかげで、好スコアが出せた」。

スコアカードと選手の五感にはズレがある。

 スコアカードだけでは語り切れないものが、選手の五感、選手の胸の中に必ず詰まっている。松山のマスターズ初日も、スコアカードと彼の感じ方には、ちょっとばかりズレがあった。

 まず「スコアカードが示す初日の松山」を振り返ると、こういうことになる。

 ドライバーで打ちだした大事な初日の第1打は、左ぎりぎりではあったが、なんとかフェアウエイを捉えた。だが、2打目は固く速いグリーンからこぼれ出してボギー発進。しかし、すぐさま2番のパー5でバーディーを奪い返すと、7番ではピン1メートルに付けてバーディー。9番では12メートルの長いバーディーパットを沈め、前半は2アンダー。3位タイで折り返した。

 しかし、11番でドライバーショットをやや左に曲げてラフにつかまりボギーを喫すると、以後はティショットが曲がり始め、グリーンも捉えられず、14番でもボギー。だが、16番、17番でしっかりパーを拾い、18番は4メートルを沈めてバーディーの締め括り。ようやく上がり3ホールでショットの好感触を取り戻した……という具合になる。

【次ページ】 11番は悪くない、問題は14番のボギーだった。

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