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ドイツで食事改善ブームが過熱気味。
レバンドフスキが牛乳をやめた理由。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byGetty Images
posted2016/02/23 10:50
レバンドフスキはリーグ第22節終了時点で22ゴールをあげ、得点ランキングで首位を走る。
食事改善でレギュラーを取り戻した選手も。
一方、4キロのダイエットに成功したのがサミ・ケディラ(ユベントス)の弟、ラニ・ケディラ(RBライプツィヒ、22歳)だ。昨年11月のビルト紙のインタビューで、「食事を改善して体がフィットしたことで、長時間の睡眠の必要性も感じなくなった」と語った。
転機は兄のサミがブラジルW杯前の怪我をきっかけに食事改善に目覚め、弟も一緒に取り組み始めたことだ。
その手法は多くの選手と同じく、精白小麦と精白砂糖を排除し、できるだけ炭水化物の摂取量を減らすというもの。
幸い彼が所属するライプツィヒは、ドイツで最も食事改善に力を入れているクラブのひとつだ。ラングニック監督の指示により、冬合宿のメニューから豚肉を除き、砂糖の代わりにキシロースが用いられた。パンとパスタは小麦を使わないグルテンフリーのものである。2部で首位を独走するライプツィヒにおいて、ラニはレギュラーを外れていたが、2月19日に今年初先発を果たした。
プロ選手同士でも流派が違い、正解はまだ闇の中。
こういう取り組みを見てひとつ言えるのは、意識が高い選手は、大量生産のために品種改良された商品を避けているということだ。
小麦は品種改良によって生産は安定したかもしれないが、それによって本来持っていた良さが弱まっている可能性がある。牛乳に関しても栄養価の高い食品を安く手に入れられるというメリットがある一方で、乳糖の分解能力に個人差・年齢差がある。一般の人なら問題ないレベルでも、トップアスリートの場合、ピッチの上でわずかなパフォーマンスの差につながる可能性はゼロではない。
あくまで選手の体験で、レバンドフスキは豆乳を飲まず、ピサロは飲んでいるというように、何が正解かはわからない。サッカー界における食事改善の潮流がどこに向かっていくのか、今後も注意深く追っていきたい。