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「ずっとめちゃくちゃ助けられてる」
アバーテが本田圭佑に向ける“尊重”。
posted2016/02/23 18:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
本田圭佑にとっては、意趣返しのチャンスだった。
昨秋のナポリ戦こそ、一時本田が多くの非難を受けたクラブ批判騒動の発端だった。
4カ月半が過ぎ、不動のレギュラーに返り咲いた本田にとって、22日の同カードは昨秋の悔しさを晴らす絶好の機会に他ならなかった。
敵地サン・パオロで、本田は攻守に躍動した。同点ゴールのアシストを決め、勝ち点1を奪った。
サッカー界の“10番”の象徴であるマラドーナの聖地で、本田は確かに幾ばくかの足跡を刻んだのだ。
前節でユベントスに惜敗して首位から転落したものの、ナポリがリーグきっての危険な相手であることには変わりがなかった。
ユーベが先週金曜のボローニャ戦でまさかのドローに終わったため、首位奪回のチャンスを得たナポリが、血眼で勝ちにくることは容易に想像できた。
細かなパスワークを繋ぐナポリの攻撃は、多彩なパターンを誇っている。彼らの左サイドからの崩しに対峙した本田は、キックオフ直後から対応に手を焼いた。
FWインシーニェとMFハムシクが小気味よいパスワークを繋ぐ間に、裏からSBグラムが抜けてくる。
16分、本田の背後を抜く形でFWカジェホンがパスを通し、受けたインシーニェが巻くシュートでファーポストを狙った。
30分を過ぎ、FWカジェホンとエースFWイグアインによるコンビプレーが、2度ミランゴールを脅かした。
インシーニェの先制点は本田のエリアからだった。
ミランも機を見てカウンターを仕掛けようとするが、FWバッカにパスは通らない。先にゴールを奪ったのは、やはりナポリだった。
39分、本田はDFグラムのショートパスがFWインシーニェの足元へ渡るのを目の前で見た。そして次の瞬間には、もうシュートを打たれていた。
インシーニェのシュートは右ポストの根本へ飛び、GKドンナルマが懸命に伸ばした左腕も届かず、ゴール右隅に飛び込んだ。先制弾に、サン・パオロを埋めた大観衆の歓喜が爆発する。
10月の対戦でも2ゴール1アシストを決めたインシーニェは、ミランの天敵だ。彼へのパスをできるだけ切る対策は取っていたはずだが、本田は自らのテリトリーから決められた先制ゴールに、一瞬無念の表情を浮かべた。