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侍ジャパン最大の課題は小久保監督?
3月の強化試合は「采配」に注目。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2016/02/19 10:40
プレミア12では準決勝で韓国に敗れた小久保ジャパン。世界大会の洗礼は彼らを強くするはずだ。
最大のテーマは、小久保監督の采配テスト。
ただ、こうしたテストや選手に実戦経験を積ませること以上に、実はもう一つ、今回の強化試合には大きなテーマがある。
それは小久保監督の采配のテストである。
昨年のプレミア12では監督就任以来、初めてのガチンコ勝負に挑んだ。格下相手に勝って当たり前とも言われたが、終わってみれば準決勝で韓国に敗れて、まさかの3位に終わったわけだ。
もちろん勝負の世界に絶対はない。
ただ、負けに不思議の負けはない、と言われるように、あの敗北も様々な原因がからんだものだったことは事実である。
大会直後に批判を浴びたのは、先発・大谷のスイッチ時期だった。大谷が7回まで1安打11奪三振とほぼ完璧な投球を見せていたのに、8回頭から則本へとスイッチした采配である。そして逆転を許した9回は、無死から連打を浴びたところで則本を続投させ、満塁になってから制球に不安のあった松井を投入した継投にも批判が集まった。
1点が必要な場面で、能動的に動けるか。
攻撃面で見逃せないのは、1点を取りにいかなければならない局面で、きちっとそれを徹底した作戦がとれなかった点が挙げられる。
4回に先制した3点を守って終盤に突入。ゲームは膠着状態で、次の1点が勝敗の行方を左右する流れだった。ところが7回に四球と盗塁で無死二塁としながら、小久保監督は送りバントではなく、3番の山田哲人内野手に「右打ち」のサインを出している。結果的に山田が四球を選んだために、この采配はクローズアップされなかったが、ここでやらなければならなかったのは、派手に大量点を奪うことではなく、いかに1点を確実に奪うかということだった。
ならば、山田は送りバントで1死三塁というシチュエーションを作るのがベンチワークであったはずだ。走者を三塁に進めれば、内野は前進守備になりヒットゾーンも広がる。次打者の筒香嘉智外野手(DeNA)も犠飛を打つことが、いわゆる「最低限の仕事」になるので打撃の幅も変わったはずだ。
結局、この回は筒香が三振、中田翔外野手(日本ハム)が中飛、松田宣浩内野手(ソフトバンク)が左飛に倒れて無得点に終わった。
直後に韓国の逆転劇が始まるわけである。