沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
200勝ペースで勝ち続けるデムーロ。
外国人騎手の強さの秘密を徹底解剖。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/01/30 08:00
以前のルメールとの対談では、田辺裕信や岩田康誠の名前を注目騎手としてあげていたデムーロ。
技術を見て盗むには、今は過去最高の環境。
かつて岡部幸雄や武は、騎乗馬が決まっていなくても積極的に海外に出て、自身の技術に磨きをかけた。が、今は「世界」のほうから日本に来てくれるようになった。
地方でリーディングを獲った騎手や、外国人の一流どころを相手にしなければならない現状は、JRA叩き上げの若手騎手にとって厳しいかもしれないが、技術を見て盗むのに、これほど恵まれた状況はかつてなかった、と言うこともできる。
書いているうちに原稿の趣旨が変わってきたような気がしないでもないが、琴奨菊が日本出身力士として10年ぶりに優勝した大相撲初場所の盛り上がりを見て、競馬がかつての熱さをとり戻すには、日本人騎手の活躍が不可欠だとあらためて思った。1980年代の終わりから、競馬とほぼ同時期にブームになったF1も、日本人ドライバーがいたからこそ注目された。
日本馬の水準が世界トップクラスになったのは間違いない。いいクルマに乗ると運転が上手くなるように、世界トップクラスの馬に乗っている騎手の腕も当然世界の頂点に近づいていくだろう。
30年連続重賞制覇をやってのけた武をはじめ、その武の新人最多勝記録を更新した三浦皇成、三浦以来の大型ルーキーとなった松若風馬にも、もっと、もっと頑張ってもらいたい。
おそらく今年から、日本馬が出る海外のビッグレースの馬券を日本でも買えるようになる。日本馬が凱旋門賞初制覇を遂げて大ニュースになるとき、その鞍上には日本人騎手がいてほしい――と、ひとりの日本人競馬ファンとして、強く思う。