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地方競馬の年度代表馬と最多勝騎手。
「NARグランプリ」のたまらない魅力。
posted2016/02/06 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Akihiro Shimada
2015年のJRA賞年度代表馬はモーリス、リーディングジョッキーは戸崎圭太だった。
彼らとは別に、日本にはもう一頭の年度代表馬と、もうひとりのリーディングジョッキー、リーディングトレーナーなどのタイトルホルダーがいる。大井や川崎、船橋、名古屋、園田など、地方競馬で活躍した馬やホースマンである。
そうした人馬を表彰する「NARグランプリ2015」が、2月4日(木)、都内のホテルで行われた。
年度代表馬に選出されたのは、JRA勢が相手となった川崎記念で4着、かしわ記念と帝王賞で3着と健闘し、浦和記念を勝つなどしたハッピースプリント(牡5歳、父アッミラーレ、大井・森下淳平厩舎)だった。年間を通じて高いレベルで活躍したことが評価され、2歳時につづく2回目の受賞となった。4歳以上最優秀牡馬のタイトルも同時に受賞した。
2歳だった'13年は北海道・門別の厩舎に所属していたが、3歳になると南関東のクラシックを戦うため森下厩舎に移籍。南関東の皐月賞にあたる羽田盃、日本ダービーに相当する東京ダービーを勝って南関東二冠馬となるも、三冠のかかったジャパンダートダービーではJRAのカゼノコの強襲に遭い、鼻差の2着に惜敗。年度代表馬の座こそ、大井記念、浦和記念などを勝ったサミットストーンに譲るも、3歳最優秀牡馬のタイトルを獲得した。
大人びている、というハッピースプリントの強み。
このハッピースプリントのよさについて、森下調教師はこう語る。
「うちの厩舎に来た3歳の早い時期から精神的に成熟していました。もともと大人びていたところが、この馬の強みのひとつだと思います。利口で、人間の指示に従順で、頭のいい馬です。また、年齢を重ねて体質的にも強くなり、レースを使ったあとの反動が少なくなってきたように感じます」
主戦騎手の宮崎光行は、「レースに行ってもおっとりしていて、多少気合いをつけても掛からない。もっと前向きな姿勢で走るようになってくれると、よりいいですね」と話している。