プロ野球亭日乗BACK NUMBER
プレミア12で見えた「エースと4番」。
収穫アリの個人、物足りないチーム。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2015/11/27 10:30
オフには渡米してのトレーニングが通例になっていた筒香嘉智。彼がさらに活躍すれば、後を追う者も増えるかもしれない。
ベンチにも、もう少し動きが欲しかった。
真剣勝負の中で自分の役割はどこにあるのか。秋山だけでなく筒香にしろ、中村にしろ、そういう意識を持ちながら打席に立って、それを実践できた。そのことが2年後のWBCを考えたとき、侍ジャパンの大きなプラス材料になっていくはずなのである。
だからこそ、もう少しベンチワークとしても、勝つというミッションだけでなく、その中で色々なことを試す価値があった大会だったとも言えるかもしれない。
WBCでは投手の球数制限がある。ならば中島卓也内野手(日本ハム)が動くボールにどれくらい対応できるのか。もし日本と同じように粘って球数を投げさせることができるようなら、この選手の2番という選択肢も当然、出てくるはずだ。また攻撃的に打線を組むのであれば、右打ちが不得手な坂本勇人内野手(巨人)だけでなく、2番で川端慎吾内野手(ヤクルト)がどういうつなぎの打撃ができるのかももっと見てみたかった。
「今回選んだメンバーが中心になっていく」
2年後のWBCのメンバーを聞かれて、小久保監督はこう語った。
紛れもなく今回の侍ジャパンは、国内のトップクラスの選手を集めたチームだった。ただ、控えには控えの役割があり、そういうスペシャリスト――例えば足のスペシャリスト、中継ぎのスペシャリスト、バントのスペシャリスト……そういう手駒を持つことも、またWBCという舞台で日本が勝ち抜く方法論であるはずだ。
チームも選手も、敗れても得たものはあった。あとはこの敗北と経験を糧に、それを次にどう活かすか。問われるのはそこである。