プロ野球亭日乗BACK NUMBER
プレミア12で見えた「エースと4番」。
収穫アリの個人、物足りないチーム。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2015/11/27 10:30
オフには渡米してのトレーニングが通例になっていた筒香嘉智。彼がさらに活躍すれば、後を追う者も増えるかもしれない。
内川の穴を埋めた中村晃も、逆方向の打撃。
筒香とともに、もう一人、国際大会向きな打撃が光っていたのが中村晃外野手(ソフトバンク)だった。
中村は当初は代表メンバーには入っていなかったが、内川聖一外野手がケガで辞退したことで追加招集された。
大会では当初はサブメンバーとして試合途中からの出場だったが、米国戦に「8番・右翼」で初先発するといきなり3安打。さらに次のベネズエラ戦では8回に筒香の代走で起用されると、そのまま右翼の守備に入り9回には同点に追いついてなお1死満塁という場面で打席に。ここでも中堅手を二塁ベース前に置いて内野を5人で固めるベネズエラの変則シフトをかいくぐって、三遊間を破るサヨナラ安打を放った。
その後もプエルトリコ戦、準決勝の韓国戦、3位決定戦のメキシコ戦にいずれも先発。結果的には18打数11安打の打率6割1分1厘を記録。しかも11安打中9本がセンターから左方向と徹底した逆方向へのバッティングだった。
「逆方向への打球はいつもの自分のスタイル。日本の投手に比べるとやっぱりボールも動くし、球筋も分からない投手ばかりなので、うまく自分の持ち味を出せたと思います」
ハイアベレージの秘密をこう語った中村は、初めての侍ジャパンでの国際大会出場の感想をこう語っていた。
「国によって(投手の)タイプが違うし、そういうのを経験できてよかった。国際試合はストライクをどんどんとってくる投手が多くて、自分もどんどん振っていこうと、(積極的な)自分のスタイルが出せたと思います」
国際大会の1番、という難役をこなした秋山。
また全試合で1番を任された秋山翔吾外野手(西武)は、国際大会での1番打者の難しさをこう語った。
「レギュラーシーズンとは違って国際試合は知らない投手ばかりだし、ゲームの最初の打席は、ある程度球数を投げさせて球筋を見せないといけないという思いもある。ただ、だからといって甘い球を逃していいのかというのもありますから。非常に難しかった」
その中で35打数9安打の打率は2割5分7厘だったが、4つの四死球を合わせて出塁率は3割3分3厘をマーク。リードオフマンとしては最低限の結果を残せた。
「普段のゲームとは違っていろんなことを考えながら打席に立ったことが、次に向けていい経験になったと思います」