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箱根の「定位置」を失った中央大学。
輝かしい記憶と“負の記憶”の間で。 

text by

生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byHideki Sugiyama

posted2015/09/07 10:30

箱根の「定位置」を失った中央大学。輝かしい記憶と“負の記憶”の間で。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

2008年に中央大学の駅伝監督に就任した浦田春生氏。自身もバルセロナ五輪などに出場したエリートランナーであり、母校復活に全てをかける。

部活動の枠を越え、結果を求められる世界に。

「昨今の箱根駅伝は、学生の部活動の枠を越えてしまいました。明らかに結果を求められる世界になっていますが、指導者の立場からすれば、学生を4年間預かって、成長させ、競技でも一定の成果をあげて、達成感を味わってから卒業させてあげたい。箱根駅伝は19位という結果でしたが、チームとしては十分に練習をやりきった思いはあったはずです。ただ結果でしか評価されない世界だとしたら、何も残らないかもしれない」

 大学は競技力を伸ばす場であり、充実感を味わう場でもある。しかし、まだ20年ほどしか生きていない選手たちは、驚くようなプレッシャーにさらされている。

「選手たちは頑張っています。重圧をはねのける精神力を養わなければいけないのかもしれませんが、出来るだけ余計なプレッシャーは感じて欲しくない。学生を守れるのは私たちだけです」

今年の春も厳しい戦いは続いている。

 2015年の春のシーズンも、なかなか思ったような結果を残せなかった。

 6月に行われた全日本大学駅伝の予選会でも後手を踏み、通過ならず。浦田監督は、その反省をこう語った。

「1組目の2人がやや出遅れて、2組目から4組目の選手たちが『挽回しなきゃ』と気負ってしまい、自分の走りが出来なかった。みんながもう少しずつ踏ん張れれば、いい形でチームプレーが出来たと思うんですが」

 それでも、4組目で走った徳永照(4年)は最上級生らしい安定した走りを見せた。箱根では3年連続で7区を走って経験も十分だし、今年に入ってから好調が続いている。

「3月の立川ハーフではベストを1分半ほど更新しましたし、いい形でスタートが切れたかと思います。全日本の予選は、挽回しようというよりも、自分の走りに徹すれば、最終的にチームに貢献できると思って走りました。夏合宿ではケガをせず、しっかり距離を踏みたいですね。秋にはトラックのタイムも狙い、予選会から箱根へとうまくつなげていければと思います」

【次ページ】 歴史ある「C」は予選会でどんな走りを見せるのか。

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