今日も世界は走っているBACK NUMBER
北京の青い空は、お値段3800億円!?
ランニング文化はまだまだ発展途上。
posted2015/09/14 10:30
text by
金哲彦Tetsuhiko Kin
photograph by
Tetsuhiko Kin
スーパースター、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)などの活躍で盛り上がり、8月末に閉幕した世界陸上北京大会。
競技が始まる数カ月前からこんな情報が飛び交っていた。
「世界陸上に出場するマラソン選手たちの健康は大丈夫なの?」
「PM2.5で汚染された北京でジョギングするのは難しいだろう」
11月の大田原マラソンでサブスリー宣言をしている私にとって、世界陸上の期間中、北京市内で走れるか走れないかは深刻な問題だ。
テレビ解説の仕事では少なくとも10日以上北京に滞在することになる。せっかく積み上げてきたトレーニングを中断するわけにはいかないのだ。
選択肢は2つ。
(1)空気の悪さを覚悟し、マスクで防御しながら屋外で走る。
(2)健康に考慮して屋内のトレッドミルで割り切る。
念のため、環境省の資料を調べてみたら絶望的な説明が書いてある。
「PM2.5はさまざまな成分からなる粒径2.5μm以下の小さな粒子であり、肺の奥深くまで入り込みやすいため、呼吸器系をはじめ、循環器系への健康影響や肺がんリスクの上昇等が懸念されている」
「2013年米国大使館の調査で米国環境基準の25倍に達するPM2.5を観測」
(出典リンク)
北京の空は……真っ青!?
ところがどっこい、天は見放さなかった。
8月20日のお昼過ぎ北京空港に到着後、頭上を見上げてびっくり!! 過去何度も見てきた北京の空ではない、空が真っ青に澄み渡っていたのである。晴れた日中でも薄暗くなるくらい汚れていたのが北京の空だったはず……。
いったい何が起こったのだ?