スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
ゴールドシュミットと山田哲人。
~3割30本30盗塁達成なるか!?~
posted2015/08/29 10:30
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Getty Images
柳田悠岐と山田哲人が凄いことになっている。前々から注目してはいたものの、この伸びしろの大きさはどうだろうか。3割/30本塁打/30盗塁(トリプル・スリーという和製英語はどうもしっくり来ない)の大台はそろって超えるだろうし、なんといってもOPS(8月23日現在、柳田が1.093、山田が1.031)の高さが圧倒的だ。
柳田や山田のようなタイプは、いままで日本の球界にいただろうか。
反射的に思い出すのは、'80年代の蓑田浩二や秋山幸二の姿だ。もともとスピードスターだった選手がパワーをつけると、こういう果実が生る。柳田や山田は、蓑田や秋山に比べると、身体の使い方がダイナミックで体幹の強さを感じさせる。つまり、重心が高いのに軸がぶれず、思いきりのよいスイングができる。旬の時期に、大リーグで勝負させてみたい新型のパワーヒッターだ。
ボンズやブラウン、そしてトラウトに並ぶ系譜。
大リーグでは、1990年代前半のバリー・ボンズや2010年代初めのライアン・ブラウンを思い出す。最近では、もちろんマイク・トラウトだろう。2012年のトラウト(新人王)は、3割2分6厘/30本塁打/49盗塁の成績を残し、早々に素質を開花させている。
2015年のトラウトは(8月23日現在)、2割9分3厘/33本塁打/10盗塁の成績だ。今季はたぶん、盗塁数が30に届かない。同じア・リーグなら、マニー・マチャドの2割9分7厘/25本塁打/16盗塁のほうが30/30に近い。もうひとりのMVP有力候補ジョシュ・ドナルドソンは、3割1厘/34本塁打/4盗塁と、圧倒的に走力が足りない。
足を使えないのは、ナ・リーグのMVP最有力候補ブライス・ハーパーも同じだ。3割2分9厘/31本塁打/5盗塁。OPS=1.093は素晴らしいが、30/30をめざす意欲はあまり感じられない。新人(2012年)のころは、年間18盗塁を記録していたのだが。
ただ、ナ・リーグにはパワーとスピードを兼ね備えた選手が少なくない。ポール・ゴールドシュミット(3割3分1厘/24本塁打/20盗塁)、アンソニー・リゾ(2割9分1厘/25本塁打/15盗塁)、スターリング・マルテ(2割9分/15本塁打/24盗塁)あたりに可能性がある。