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鹿島FW育成システム、最後の結晶。
浦和のエース興梠慎三に流れる系譜。
posted2015/05/27 10:30
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
5月23日に鹿島アントラーズを2-1と破り、開幕12戦負けなしと浦和レッズはファーストステージ制覇へ向けて勢いに乗っている。
オウンゴールという不運な形で先制点を許しながらも、冷静な戦いを見せた守備陣。そして攻撃陣では、武藤雄樹と関根貴大がゴールを決めてみせた。
「内容は悪かったけど、それでも勝ちきれたのは良かった」と話してくれたのは興梠慎三だった。
2012年オフに鹿島から浦和へ移籍したストライカーは、いまや浦和の攻撃のエンジンとして、なくてはならない存在になっている。古巣鹿島戦の終盤にズラタンが途中投入されると、1トップからシャドーストライカーへとポジションを変えて、スルーパスで得点を演出している。レッズは、この日ゴールを挙げた武藤と関根が4得点。ズラタン、梅崎、興梠がそれに続く3得点と、得点源を多く持っているのが今季の特長でもある。
「今は誰がどこででても、どのポジションの選手も点がとれるのがレッズの強み。エースストライカー的な選手がいないというのはさみしいですけどね。一応、自分が一番前にいるので、サイドの選手に得点数で越されているというのは、ちょっと問題があると思いますから。でも、すぐに(得点数は)抜けると思います」
試合後には、そうエースとしての矜持が漂うコメントを残している。確かに、負傷で約1カ月欠場していたことを考えれば、彼の得点力はレッズでも随一であることは間違いない。
「ゲームを作るという考えのほうが強い」
しかし実は試合の数日前、興梠は「自分ではエースストライカーとは思っていない」と話していた。
「一番前にいるだけだから。どちらかって言ったら、ゲームを作るという考えのほうが強い。楔のボールを受けて、おさめて、周りを使って……。あとはペナルティエリア内での勝負。その中での勝負には、徹底的にこだわっていきたい」
ペナルティエリア内での強さは自身の得点だけでなく、周りの選手を活かすプレーにもつながり、チームとしての攻撃を底上げする。