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「Jの名将」から代表監督を選ぶ5カ条。
当てはまる候補者は9人、最適任は? 

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北條聡

北條聡Satoshi Hojo

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photograph byTakuya Sugiyama/Toshiya Kondo

posted2015/02/26 16:30

「Jの名将」から代表監督を選ぶ5カ条。当てはまる候補者は9人、最適任は?<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/Toshiya Kondo

オリヴェイラ(右)も、ストイコビッチも、Jの実績で見れば、いずれも“名将”だが……。

身の丈を知るのも、監督選びの重要なポイント。

 身の丈を知る――。それも監督選びの重要なポイントでしょう。現時点でワールドクラスと呼べる選手はいませんね。3年以内にその手の選手がおいそれと現れるとも思えません。アジア勢が相手でも「決定力不足」に悩まされるのが実情です。

 こうしたスペックを踏まえて、相性抜群の相手を探しましょう。あとで「性格の不一致」とか言われても困りますから。

 そこで、ようやく本題です。「Jの名将」から次期代表監督を選ぶ場合、どんな条件を求めるべきなのか――ざっと思いついたのが、次の「五カ条」です。

1・タイトル歴に加え、安定した成績を残している
2・コレクティブなフットボールを展開している
3・アグレッシブに戦う姿勢を浸透させている
4・オプション(交代策や戦術転換)の活用に優れている
5・オリジナルのシステムを採り入れている

 まず「1」のタイトル歴はリーグ、天皇杯、ナビスコカップの三冠です。結果を求める以上、さすがに無冠というわけにはいきません。勝運は必要ですから。次の「2」は説明不要でしょう。ワールドクラスがいない以上、個の力に依存するわけにはいきません。続く「3」は世界標準のお話です。腰が引ける、球際で負ける、リスクを恐れるじゃあ、ケンカ腰で挑んでくる相手に歯が立ちません。愉快な「球遊び」はプライベートでお願いします。

 続いて「4」は「俺たちのサッカー原理主義」に潜むバグ(不具合)を取り除くことです。これを「ぶれる」と誤解されてはかないません。本番でうまくいかず、パニックに陥る方がよっぽど困りますから。で、最後の「5」は強者と同じことをしていては勝てない――というお話です。例えば、ブラジル大会で躍進したチリ、メキシコ、コスタリカは少数派の3バックで戦っていました。強者との「格差」を埋めるアイディアがほしいところです。

 随分と大雑把な説明で恐縮ですが、身の丈に合った相性のいい相手を選ぶための概要です。さすがに「実績さえあれば誰でもオッケー」というわけにはいかないでしょう。歴代の指導者を例に取ると、イビチャ・オシム監督は5つの条件を満たしていましたね。おまけに「世界での実績」もありました(ワールドカップ8強・欧州チャンピオンズリーグ出場)。南アフリカ大会の岡田武史監督も「5」以外はほぼ条件をクリアしています。監督就任は横浜F・マリノスでJ1連覇を果たした後でしたね。

【次ページ】 候補者たちを「5カ条」から絞り込むと?

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ドラガン・ストイコビッチ
オズワルド・オリヴェイラ
ネルシーニョ
マルセロ・ビエルサ

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