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「Jの名将」から代表監督を選ぶ5カ条。
当てはまる候補者は9人、最適任は?
text by
北條聡Satoshi Hojo
photograph byTakuya Sugiyama/Toshiya Kondo
posted2015/02/26 16:30
オリヴェイラ(右)も、ストイコビッチも、Jの実績で見れば、いずれも“名将”だが……。
候補者たちを「5カ条」から絞り込むと?
じゃあ、実際に候補者たちを「5カ条」から絞り込むと、どうなるのか。前回のコラムで指摘した「実績の賞味期限」を考慮して、タイトル歴(三冠)を過去5年に絞り込むと、該当者は外国人ではドラガン・ストイコビッチ、オズワルド・オリヴェイラ、ジョルジーニョ、ネルシーニョの4人、日本人では森保一、長谷川健太、柳下正明、大熊清、樋口靖洋の5人。この中で完全なフリーはピクシーだけです。しかし、5つの条件に照らしてみると、候補者としては微妙かもしれないですね。
なぜでしょうか? 名古屋の監督としてコレクティブなフットボールを展開した1年目は栄冠に手が届かず、ケネディや闘莉王らを引き抜く大型補強を敢行した後の3年目に「個の力」を前面に押し出したスタイルでタイトルを引き寄せています。
大型補強で結果を出す手法では代表監督は務まらない!
Jリーグを制するには有効な手法ですが、代表では資金力を生かして「外国人ストライカー」を連れてくるわけにはいきません。レアル・マドリー(スペイン)の監督選びなら話は変わってくるでしょうけどね。巷で「グラーセナル」と呼ばれた1年目にタイトルを獲得していたら良かったのですが。優勝も1回のみで成績も安定していませんでした。
他の候補者は現在クラブの監督か強化部長の任にあり、オリヴェイラは昨年12月にパルメイラス(ブラジル)と契約したばかりです。惜しいのはオリヴェイラでしょうね。鹿島を率いた5年間で実に「6冠」を手にしています。
J史上初のリーグ三連覇に加えて、天皇杯優勝が2回、ナビスコ杯制覇が1回。主砲マルキーニョス(現神戸)の働きは大きかったですが、彼の退団後もナビスコ杯を取っています。岡田武史監督と同様に「5」以外は十分に条件を満たす指導者でしょう。