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日本人が誰も貫けなかった生き方を。
岡崎慎司、フォワードの理想を語る。 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2015/01/22 16:30

日本人が誰も貫けなかった生き方を。岡崎慎司、フォワードの理想を語る。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

歴代3位となる代表通算41ゴールを決めている岡崎慎司。今大会ではいまだ1得点だが、アジアの頂点に立つためには彼のゴールが絶対に必要だ。

コンフェデで口にした“エゴイスト”。

 その新たな決意を象徴する言葉を、2013年のコンフェデレーションズカップで岡崎は口にしている。

「僕はフォワードという最も結果に影響を与えるポジションでプレーしている。だから、周りに要求していくべきだし、エゴイストになるのは当然のことだと思うんですよ」

 自身は3試合で2得点を決めたものの、3戦全敗で大会を終えた岡崎はそう話した。

 日本では“エゴイスト”という言葉は、ネガティブな印象で受け止められることが多い。そんなリスクは岡崎もわかっている。それでも、言わずにはいられなかった。メディアの前で話すことで、自身を追いつめたかった。フォワード、ストライカーとして生きぬくために。

 その後移籍したマインツでは、2013-2014シーズンに15得点を決める。欧州主要リーグにおける日本人の史上最多得点記録を更新し、ブンデスリーガ得点ランキングでも上位に食い込んだ。

 今季も17試合を終えた時点で、リーグ4位タイの8得点を決めている。

「チームがうまく行っていないときほどチャンス」

 GL敗退に終わったブラジルW杯後、アギーレ体制では当初はアウトサイドでのプレーを要求されたが、10月の合宿からは1トップに定着。しかし、初ゴールが生まれたのは4試合目となる11月18日のオーストラリア戦だった。「気持ちで決めた」と語ると同時に、1トップの難しさも口にしている。

「ゴールが無いことに危機感はあまりなかった。むしろ、問題はボールが来ないこと。どうしたら、自分に集まってくるんだろうって。前田(遼一)さんとかは、1トップで組み立てにも参加しながら、ゴールという結果も出していたのはすごいなぁと。今自分が1トップをやってみて思いますね。いいときはいいって言われるけど、点が無かったら、消えていたねという風に言われる。

 結局チームがうまくいっている時というのは、1トップが組み立ての中でボールを受けたりして、攻撃が機能しているということ。ただそういうとき、最後のところで1トップは決めきれない。逆に、チームがうまく行っていないときほど、1トップにはチャンスがあるんだと思う」

 マインツと日本代表とで同じプレーができないのは当然だ。戦術も違えばチームメイトのタイプも違うのだから。しかし、世界トップクラスの点取り屋はどこであっても自身を表現できる力がある。90分間のほとんどの時間消えていても、得点を決めてチームを救う。それこそが“エゴイスト”に相応しい姿なのかもしれない。

【次ページ】 「ボールが触れなくても気にはならない」

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