ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
なぜ岡崎は課題ばかり口にするのか。
「ハングリー」と「しつこさ」の関係。
posted2015/01/23 10:40
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Takuya Sugiyama
お金がない家庭に育たなくても、親と離別するなど壮絶な生い立ちではなくとも、食べるものに困らなくとも、ハングリー精神は養える。
それを教えてくれるのが岡崎慎司なのではないだろうか。
岡崎は、日本を離れて4年になる。シュツットガルトでの最後のシーズンを除けば、ヨーロッパで順調なステップを踏んでいる。
ただ、2014年の年末のこと。マインツでのブンデスリーガ前半戦が終わる直前に、岡崎はこんなことを話していた。
「昨シーズンの15点というのは(1試合に)2点ばかりとって、良い時はいいけど、悪い時は悪いみたいな感じで終わったんです。でも、今シーズン(前半戦)の8点は間隔があまりあかなかった。それに(1試合に)1点とかも多いし。そういう意味ではムラがなくなっていると思います」
「一生、満足しないで終わると思うんです」
前半戦16試合に出場して8ゴールという成績は、十分に満足できるものであるかに思える。33試合出場15ゴールという、日本人のヨーロッパ主要リーグのシーズン最多ゴール記録を樹立した昨シーズンを上回るペースでゴールを重ねているのだから。
ただ、岡崎は冷静に自分のことを振り返っている。
「今は『なんとか、一皮むけないとなぁ』という感じです。昨シーズンの延長でゴールをとれている感じですけど、やっぱり、チームが上手くいかないときに、自分に何が出来るかが大事だと思うんですよ。それがまだ出来ていない。結局、W杯ではそれが大事だったわけじゃないですか? それが今の自分の目標すかね。
自分に何が起こせるか。それにはまだ至っていないから。あくまでもゴールをとるのがオレの仕事なので、それを頑張ることは出来ると思うんです」
そこまで話すと、「でも……」と岡崎は続けた。
「ただ頑張るだけじゃなくて、結果も内容も良くしていかないといけない。たぶん、どんなときでも『あの場面では、もっとこうすれば良かったのに』と思ったりして、一生、満足しないで終わると思うんです」