サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
日本人が誰も貫けなかった生き方を。
岡崎慎司、フォワードの理想を語る。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byTakuya Sugiyama
posted2015/01/22 16:30
歴代3位となる代表通算41ゴールを決めている岡崎慎司。今大会ではいまだ1得点だが、アジアの頂点に立つためには彼のゴールが絶対に必要だ。
「ボールが触れなくても気にはならない」
「決定的な仕事をしたい」
アジアカップを前に、岡崎は何度もそう繰り返した。
「そういうのができれば、自分の成長だと思う。チームがまったくうまくいかないときでも、自分に出してくれというのを伝え続けて、自分に最高のボールが来たときに、決められる準備をしておく。
マインツでも(ボール)コンタクト数は少ないけど、ゴールは獲れている。だから、ボールに触れられなくても気にはならないです。周りから見たら『あいつ大丈夫か』って、思われるかもしれないけど(笑)。ボールに触れなくとも、相手にとって、危険な場所に毎回居続けることが、ボールコンタクト数を凌駕すると思うんですよね。そして、結局結果を出すのはアイツ、みたいになりたい」
イメージを、ピッチで表現するために。
グループリーグは、3戦無失点での全勝で危なげなく突破した。初戦は快勝したものの、第2戦、第3戦では先制点を決めた後の時間帯に苦戦している。第3戦では自分でドリブルを仕掛けるなど、強引なプレーも見せたが、ゴールには繋がらなかった。結果が出なければ「独りよがり」と言われるのかもしれない。それでも「強引なプレーをすることで俺にマークが集まれば、周りが楽になるはず」と前向きなコメントを残していた。
イメージするものを、ピッチで表現する難しさ。岡崎は今も試行錯誤を続けている。
「マインツと代表ではやっぱりスタイルが違うし、自分もそこに合わせないといけない。あとは対戦相手によっても変わってくる。引いた相手に対してはマインツでも点は取りにくかった。そういうとき代表では、選手間の距離を縮めて短いパスでゴールに迫っていくというパターンがある。そのなかで自分は何ができるのか。その答えを出していかないといけない。
『このタイミングで出してほしい』というのも、何回言っても合うのには時間がかかるのは仕方ない。そのなかで俺は俺なりに、どうやったらゴールに近づけるかを考えていかなくちゃいけない」
連携を深める作業はもちろんだが、それよりも現時点のチームで何ができるか、何をやるべきかを岡崎は考えようとしていた。
「みんなが『マインツのときは』と言ってくれるけど、マインツで常にいいプレーをしていたかと言えば、そうじゃない試合もある。90分何もせずに終わった試合もメッチャあったから。それに比べたら、今ははるかにボールに触れているし、チャンスに絡めそうになっている」