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マンUの現実感、アーセナルの理想。
プレミア上位陣の共通点は「攻撃」? 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byTomoki Momozono

posted2014/12/28 10:40

マンUの現実感、アーセナルの理想。プレミア上位陣の共通点は「攻撃」?<Number Web> photograph by Tomoki Momozono

今季バルサから移籍、チーム内最多アシストを記録するなど、首位チェルシーの中心として活躍するセスク・ファブレガス。

アーセナルとリバプールは「勝ち損ね」の常習犯。

 そのアーセナルが、17節で自軍よりも今季の失点数が多いリバプールと顔を合わせた一戦では、両軍が早くも優勝戦線から遠退いている理由が改めて確認された。引分け(2-2)に終わったシーソーゲームと言えば聞こえは良いが、右に左にシーソーを傾けさせたのは、攻撃の見事さではなく守備の拙さだった。

 ハーフタイム直前にリバプールが奪った先制点は、コウチーニョのテクニックを誉めることもできるが、対峙したマテュー・ドビュッシーもあっさりかわされ過ぎた。そもそものきっかけは、自陣内でポゼッションを譲ったオリビエ・ジルーのミスだ。間髪容れずにFKの流れから生まれたアーセナルの得点は、リバプールによるパニックの産物。混乱状態のゴール前でドビュッシーが相手CBマルティン・シュクルテルに競り勝ってネットを揺らした。

 この試合で、リバプールは最終的に64%近いボール支配率を記録している。だが、ルイス・スアレスが去り、新FWのマリオ・バロテッリは期待外れで、ダニエル・スタリッジが故障中のチームはゴール前の決め手に欠ける。強豪対決では失点を警戒すべきだったが、アーセナルは後半65分のカウンターからジルーがGKブラッド・ジョーンズの股間を撃ち抜き、難なく逆転に成功した。

 しかし、アーセナルはアーセナルで、言わば「勝ち損ね」の常習犯。後半ロスタイムの相手CKからシュクルテルにフリーでヘディングを許して追いつかれた。

現実感を持ち合わせるファンハールのバランス感覚。

 逃げ切り失敗と言えば、9月のレスター戦(3-5)で2点差を逆転されたマンUも思い浮かぶ。衝撃的な守備の崩壊だった。しかし、攻撃サッカーの理想像と共に現実感も持ち合わせるファンハールは、その後対戦相手と自軍の台所事情に応じてシステムを変え、時にはポゼッションを犠牲にしながら攻守のバランス改善に努めている。結果としてマンUは、好セーブを連発したダビド・デヘアの好調に助けられたとはいえ、DF陣に故障者が相次いでも無失点の3試合を含む6連勝を記録して3位に浮上した。

 それに引き換え、アーセナルとリバプールは弱点の守備に改善が見られないまま、トップ4の座も危ぶまれる状況に陥っている。アーセナルは17節終了時点で首位と15ポイント差。リバプールは、そのアーセナルと5ポイント差の10位でクリスマスを過ごすことになった。

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