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F1復帰のホンダに集まる熱烈な期待。
最強ドライバーを得て、勝算は?
posted2014/12/21 10:40
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
最終戦が終了したアブダビのヤス・マリーナ・サーキットに、慌ただしく撤収作業を行なっていたチームがあった。
マクラーレンである。2日後から同じ場所で合同テストが始まるにもかかわらず、マクラーレンが忙しく仕事をしていたのは、パワーユニットの供給元であったメルセデスとの契約がその日の24時で切れるためである。
マクラーレンには、テストでメルセデスのパワーユニットを使用するという選択肢もなかったわけではない。例えば、来季メルセデスに移行するロータスはテストでは2014年シーズンと同じルノーを使用していた。マクラーレンとメルセデスとの契約も同様だったが、マクラーレンはアブダビGP直前に、早期の契約解除をメルセデスに通達していた。言うまでもなく、ホンダのパワーユニットをテストから使用するためである。
テストの2日間はトラブル続きも、期待は高い。
マクラーレンがそこまでホンダにこだわって行なったテストだったが、結果は思うようにはいかなかった。初日は燃料ポンプを作動させる電気系統に不具合が発生。走行はわずか3周に終わった。初日の問題を解決し、さまざまな確認作業を行なって臨んだ2日目も、トラブルは続いた。
「朝5時半にエンジンに火を入れたときには問題がなかったのに、テスト開始直前になって原因不明の電気系トラブルが起こった」(エリック・ブーリエ/レーシングディレクター)
そのマクラーレン・ホンダのマシンがコースに出たのは、夕方の4時半。テストが始まってから7時間半後のことだった。
しかも、2周目にはトラブルが発生してコース上でストップ。結局、2日間の総走行距離は約4周。コントロールラインを一度も通過できず、計測タイムはなしという結果に終わった。
テスト後、ヨーロッパのジャーナリストから「ホンダはだいじょうぶなのか?」という質問を少なからず受けた。この質問は、いかにホンダへの期待が高いかの裏返しだ。