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2014年は“元王者”受難の時代。
来シーズンのF1は逆襲の年に?
posted2015/01/04 10:50
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
ルイス・ハミルトンとメルセデスが圧倒的な強さを発揮して幕を閉じた2014年シーズン。
過去の王者たちにとって、この1年は受難の年であった。
もっとも苦しみ、低迷し続けたのがフェラーリだ。
フェラーリは今年1勝も挙げることができず、コンストラクターズ選手権は4位に終わった。ミシュラン勢がレースをボイコットして手にしたアメリカGPの1勝に終わった'05年ですら、フェラーリはコンストラクターズ選手権で3位に踏みとどまっていたのだから、'14年の低迷ぶりがいかに深刻なものだったかは推して知るべしである。
フェラーリがコンストラクターズ選手権でトップ3の座から滑り落ちるのは、'09年以来のことだ。
フェラーリが未勝利のうちにシーズンを終えたのは、1950年、'57年、'62年、'65年、'67年、'69年、'73年、'80年、'86年、'91年、'92年、'93年の12回だ。
どのシーズンも低迷には違いないが、それでも'14年のそれとは大きな違いがあった。それは、'14年はドライバーが2人ともチャンピオン経験者であったということだ。過去12シーズンは、いずれもドライバーの1人が、または2人ともが無冠だった。
話はフェラーリのみにとどまらず、王者を2人そろえてシーズン未勝利に終わったチームは、65年のF1の歴史の中で初めてだ。それだけ、'14年の跳ね馬は走らなかったということである。
フェラーリを出たアロンソにとっても、来年は勝負の年。
そのフェラーリに見切りをつけてマクラーレンへ移籍したフェルナンド・アロンソにとっても、'15年は大きなターニングポイントとなるに違いない。
それは、元王者が再び王座に返り咲くには「移籍は1回まで」というのが近年のF1の流れだからである。
'94、'95年にベネトンで連覇を果たしたミハエル・シューマッハーは、フェラーリで'00年から5連覇を果たしたが、'10年に移籍したメルセデスでは優勝すらできなかった。
やや古いところではネルソン・ピケ。'83年にブラバムでチャンピオンとなった後、'87年にウイリアムズで再びタイトルを獲得したが、その後に移籍したロータス、ベネトンでは無冠に終わり、'91年限りで引退している。
'08年にマクラーレンで初戴冠し、'14年に2チーム目のメルセデスで王座奪還したハミルトンも、移籍して王座に返り咲いたドライバーである。