スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
箱根の鍵は1区? 2区? または……。
主導権争い、駆け引きの序盤を読む。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKyodo News
posted2014/12/15 10:30
全日本では駒澤大が4年連続での優勝。大本命の座は揺るがないが、平均タイムなどを見る限り他校にもチャンスは大いにある。
駒大監督「2区が終わった時点での展開が大事」
今回もキーワードは「高速1区」になりそうだ。
来年3月での勇退が発表された早大の渡辺康幸監督の新刊、『箱根から世界へ』(ベースボール・マガジン社)には、前回大会前に主力の故障が相次いで危機感を募らせた渡辺監督が、是が非でもシード権を獲得するため、1区から大迫を使ってシード権争いをしそうな学校をふるい落とした――とハッキリと記されている。
優勝争いのための主導権、そしてシード権獲得のためのゆさぶり――。
各校のエース格の選手が集まり、激しい駆け引きが展開されそうだ。
それでも、優勝候補筆頭である駒大の大八木監督は余裕を見せた。
「たしかに1区は大切ですが、力のあるランナーがそろうので、そんなに差はつきませんよ。むしろ、2区が終わった時点でどういう展開になっているかが大事でしょう」
つまり、1区と2区をセットで考え、2区終了時点で主導権を握ろうという目論見のようだ。
高速展開に投入する選手も豊富で、10000mの現役学生ナンバーワン記録を持つ村山謙太(4年、明成)、故障からようやく復調してきた中村匠吾(4年、上野工)、中谷圭佑(2年、西脇工)の3人は駅伝の経験も豊富だ。
実は、記者発表の後の懇談会でも、他校の主務たちから「あの3人、どう並べてきますかね?」とこちらが質問されてしまうほどの注目度だ。
駒大に対抗できるのは明大、青学、東洋か?
おそらく村山の2区は固い。そうなると中谷(全日本大学駅伝の閉会式場では「なんとか2区走りたいです!」と威勢が良かった)、中村の配置がポイントになるが、故障明けの中村にはやや不安要素がある。さて、大八木監督はどんな組み合わせを考えるだろうか。
この3人に対抗できるスピードを持つのは、明大(大六野秀畝、有村優樹、文元慧、横手健)、青山学院大(久保田和真、小椋裕介、一色恭志)、東洋大(田口雅也、服部勇馬、服部弾馬)の3校か。
山梨学院大はオムワンバが2区に起用される見込みで、1区の流れ次第ではぶっちぎる可能性もあるし、早大は序盤で先頭が見える位置につけ、山で逆転を狙いたい。
とにかく上位校でさえも、主力を温存している暇はなく、序盤から激しい駆け引き、揺さぶりが見られるだろう。
次回の「スポーツ・インテリジェンス原論」は、どうやら各校のエース級が投入されそうな5区、「山フェス箱根2015」について考えてみたい。