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増加の一途を辿るマラソン大会。
2015年は参加者のマナー向上も課題。
posted2014/12/16 10:30
text by
金哲彦Tetsuhiko Kin
photograph by
Hirofumi Kamaya
フルマラソン大会創設の勢いが止まらない。
来年は新たに、横浜、岡山、富山など、いくつかの大規模フルマラソン大会ができる予定だ。
2014年を振り返っても、北九州や福岡など、主要都市が次々とフルマラソン大会を実施、地域の話題となった。
制限時間の緩い市民参加型のフルマラソンができれば、自然とその大会を目指すランナーが増え地域活性化や健康増進につながる。
そんな図式は、「とくしまマラソン」を成功させた徳島県がすでに証明している。昨年度の「フルマラソン完走者数の人口比率ランキング」で、沖縄につぐ2位に徳島が躍進したのだ。
そもそも大会数の多い沖縄と違い、徳島で開催されるフルマラソンは2つ。
機会は少ないが、阿波踊りの文化で培った体力と連帯感がマラソン文化にも生かされた。フルマラソンにチャレンジする土壌がさらに醸成できれば、糖尿病死亡率ワースト県の汚名もいつか返上されるに違いない。
ランナーが増えるにつれて、浮上したエントリー問題。
新設大会が増えると、おのずと初心者ランナーが増える。
ランニングどころか、大人になってから運動経験さえなかった人でもそれなりの努力をすれば完走できるのがフルマラソンのいいところ。
スタートラインに立つ興奮とフィニッシュしたときの感動は一生の思い出になり、なにより人生を豊かにしてくれる。チャレンジできるレースが増え、ランナーが増えるのは素晴らしいことである。
しかし、いくつかの課題も浮上している。
その筆頭はエントリー問題だ。約10倍という高倍率の東京マラソンをはじめ、人気レースの多くは抽選方式だ。
「何年も落選し続けてモチベーションが下がった」
「当選してから慌ててトレーニングを開始して脚を痛めてしまった」
という話も漏れ聞こえてくる。