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武藤嘉紀のドリブルはなぜ通用した?
4日間で修正した「パワーとスピード」。 

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西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2014/10/22 10:30

武藤嘉紀のドリブルはなぜ通用した?4日間で修正した「パワーとスピード」。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

Jリーグでは28節終了時点で11ゴールを決め、得点ランキング6位につけている武藤嘉紀。頭が下がらない状態でスピードを出せる彼のドリブルは、世界と戦ううえで大きな武器だ。

「スピードよりも、細かい動きやステップで勝負」

 ジャマイカ戦に向けて新潟で準備を進めている最中、武藤は自分のプレーをイメージしていた。

「ジャマイカは身体能力が高いので、速さで勝負しても仕方ないかもしれない。とにかく細かい動きで崩していくことは意識したい」

――Jリーグとは違う仕掛け方になる?

「そうですね、自分の持ち味であるスピードを生かしたいんですけど、相手もそれを上回るスピードを持っている。そこで勝負するというよりも、細かい動きだったりステップで相手を抜いていければいい」

 ヨーイドンで競争をしても、勝てる相手ではない。ならば、自分には細かいステップやアジリティがある。勝機はそこしかないと、武藤は踏んでいた。

対面した、想像を絶するスピードの持ち主。

 しかしいざ試合が始まると、武藤は想像をはるかに上回るパワーとスピードを兼ね備える曲者と相対することになった。

 ジャマイカ戦、武藤のポジションは4-3-3の左サイドFW。対面した相手はアルバス・パウエル。アメリカ・メジャーリーグサッカー(MLS)のチームでプレーしており、MLS内でもその爆発的なスピードが注目されている選手だ。

 187cmの長身を誇るこの大型サイドプレーヤーに武藤は苦しめられる。ボールを受けて前を向いても、すぐに大きな体で前方に立ちはだかる。

 動き出しや競り合いで先手を取って前に出て、そこから推進力を発揮してドリブルで相手ゴールに向かっていくのが武藤の得意パターンだ。しかしこの試合では、パウエルに後ろからすぐに追いつかれ、相手の長い足にボールを弾き出されるシーンが続いた。

 頭ではわかっていた身体能力の差。しかし直面したのは、その予想を超える現実だった。

「戦ってみて痛感したのは、リーチの差というよりはやっぱりスピード。自分が対面した右SBは異様に速かった……。特に自分が裏に抜け出してから追い付いてくる速さは、これまで経験したことがないものだった」

【次ページ】 武藤が隠し持つ“破壊的な”ドリブルとは。

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