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切り札・香川にも動じずダービー勝利。
内田が発揮した集中力と、得た自信。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2014/09/28 14:15
試合後の内田は「ラッキーと言ったらアレですけど、ドルトムントらしくないというか……。(中略)両チームとも怪我人が多く、勝ち点もそれほど取れてない中で、勝てて良かったです」とコメント。
徹底的にチャンスを与えないシャルケの守備。
もっとも3分後には、ドルトムントのラモスが右サイドを抜け出し中央に折り返すと、ファーサイドに遅れて飛び込んできたオーバメヤンが合わせて、ドルトムントが1点を返す。
ドルトムントとすれば、このカウンターの場面のようなスピードに乗った攻撃を続けざまにしかけたかったはずだが、シャルケのDF陣がそれを許さない。
シャルケは冒頭のオッズの通りにやや不利な状況に置かれていたが、それを逆手にとり、攻撃でも人数をかけて厚みをかけていくのではなく、同じサイドで一気に攻めきったり、シンプルにDFラインの裏へパスを送って決定機を作ろうとしていた。
こうした攻撃がゴールにつながることはなかったが、ドルトムントにチャンスを与えないという意味では、確かに効いていた。
香川が入ってドルトムントの支配率は上がったが……。
後半に入っても狙い通りのサッカーが出来ず仕舞いのため、ドルトムントは57分にインモービレに代えて香川を、69分にグロスクロイツに代えてヨイッチを投入していく。前半は48%に過ぎなかったドルトムントのボール支配率は、後半だけを見ると85分の時点で66%にまで上がっていた。速攻中心の攻撃から、ボールを保持しながらチャンスをうかがう戦いヘのシフトは出来ていたのである。
足りなかったのは、そこから決定的なチャンスを作る作業だった。
昨季まで所属していたレバンドフスキのように狭いスペースで相手に寄せられてもキープできる選手がおらず、前線に核がない。その前線には香川やラモスなど新加入の選手が多く、コンビネーションもまだ発展途上なのだ。
そして、見逃せないのがシャルケの選手たちの踏ん張りだった。攻撃はカウンターを中心にして、ラインを下げても選手間の距離をせばめて、簡単にパスを通させない。そして、何より彼らはどん底の状態を脱しつつあるという自信があった。