監督解任危機から、急上昇中のシャルケ。

　10日前のCL、チェルシーとのアウェーゲームの時点で、開幕してから一度も勝利をつかんでおらず、負ければケラー監督の解任は確実視されていた。その試合を1－1で守りきったことで、チームは上昇気流を描きつつあった。サッカーの内容ではなく、結果を残していくことで、選手たちは自信をつかんでいったのだ。

　結局、ドルトムントが後半になってからつかんだチャンスの数は、支配率が上がっていったデータとは比例しなかった。

　後半40分に、右サイドからのパスを受けた香川が素早く反転して、左前方にドリブルしながら急停止、そのまま左足で右前方にパスを出したシーン以外に、チャンスになりそうな場面はなかった。このシーンではラモスが反応していたが、トラップが流れてGKフェールマンにボールをキャッチされてしまっていた。

　終盤にはドルトムントがなりふり構わず、前線にボールを送りこんでいったが、シャルケの守備陣はそれをことごとく跳ね返し続けた。

　怪我から復帰したばかりの内田も、後半25分からは両足にかなり疲労がたまって苦しい状況だったと振り返るが、後半29分にオーバメヤンが仕かけたドリブルに対してスライディングでボールをしっかりと奪い取っていた。

勝負に徹していたシャルケと内田篤人。

　結局、シャルケが押し込まれながらも最後まで集中力を切らさなかったことで、ドルトムントに2回目のゴールは生まれず。シャルケが2－1で勝利をつかんだのだった。

「勝てば勢いがつくという意味ではすごく大事な試合でした」

　試合後、内田は改めてダービーの大きな意味を振り返っていた。サッカーの内容で相手を上回ったわけではないとはいえ、シャルケは勝負に徹して2連勝を果たしたのだ。

【次ページ】　なぜレヴィアーダービーはドイツ最大なのか？