リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
ルイス・エンリケが回す「好循環」。
カンテラへの信頼がバルサ再生の鍵。
posted2014/09/24 10:50
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
三つ巴の首位争いが予想された今シーズンだが、第4節を終えたところで全勝のバルセロナが独走を始めている。
昨季の王者アトレティコ・マドリーは2つの引き分けが響き、4ポイント差の4位。レアル・マドリーは早くも2敗を喫して6ポイント差の7位。バルサを追う役は、いまのところ、3勝1分けのセビージャとバレンシアが担っている。
バルサといえば、開幕前は優勝候補三者の中で最も不利な状況にあった。監督をルイス・エンリケに替えた上、昨季のチームに大きく手を加えたため、やらねばならないことや直さねばならない点がレアルやアトレティコより多かったからだ。
それなのに、このスタートダッシュ。
バルサの無失点での開幕4連勝は、1929年に始まったリーガの歴史上これが初めてである。
試合の出場機会を全員に与えるエンリケスタイル。
“強さの秘密”探しは当然始まっており、これまでにディフェンスの改善やメッシの好調、微に入り細を穿つコンディション調整などが挙げられているが、忘れてならないのは監督のメンタルマネージメントの妙だ。
ルイス・エンリケの場合、その方法は出番を全員に分け与えること。
そうやって個々の士気を高め、チームを団結させると同時に、「仲間ではあるけれどポジションを争うライバル」という緊張感を生み出している。実績もあり、バルサBを率いた'10-'11シーズン、彼はフィールドプレイヤー33人とGK3人を使ってクラブ史上最高の2部リーグ3位を記録した。
今季はまだリーガ4試合、CLを入れても5試合しかしていないが、故障中のGKマシップとセンターバックのベルメーレン、出場停止期間中のスアレス、8月末にブラジルからやってきたドウグラスを除く22人をすでに使っている。
ところで、今季のバルサがトップチーム登録しているのは23人。そこから前述の4人を引くと19人。なのに5試合で22人を起用したとはどういうことなのか?