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アギーレとクーマン、2つの“新体制”。
吉田麻也が直面する異なる課題とは。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byAFLO
posted2014/09/25 16:30
レギュラーの座を掴みかけたタイミングで、接触により靭帯を痛めてしまった吉田麻也。サウサンプトンは5節終了時点で2位と好調で、苛烈なレギュラー争いは始まったばかりだ。
クーマン「マヤは私のサッカーを知っているだろ?」
指示を受け、それをチームメイトに伝達する。吉田は、サウサンプトンでもそんな仕事をよく引き受けている。
今季から監督に就任したロナルド・クーマンに、吉田はこんなことを話されたという。
「マヤは私がやろうとしているサッカーをもう知っているだろ? と聞かれたので、『もちろんです』と答えました」
吉田とクーマンに共通しているもの、それは“オランダ”である。クーマンは言わずと知れた元オランダ代表の名DFで、オランダ国内でも指導者経験を持つ。一方吉田にとっては、欧州のキャリアの出発点として3年間を過ごした地である。
「僕がVVVにいた時に、クーマン監督がフェイエノールトを率いていたので、対戦経験があるんです。当時フェイエノールトは財政問題を抱えていたので、なかなか良い選手を獲得できなかった。どうしても自前の選手を育てないといけなかったので、結構若い選手を積極的に起用していた印象がありました。
あと、当時のチームは長いボールを蹴らずに、かなり無理してでもパスをつないでいく戦い方でしたね。でもフェイエノールトの時よりも、ここでは場合によっては前線に蹴ってもいいという指示が出ています。そこは、プレミアスタイルに合わせているかもしれないですね」
クラブと代表でリンクしたスタイルの変化。
クーマンの守備スタイルもまた、アギーレ同様にオーソドックスな形だ。前線から果敢にプレスを掛けて、DFラインもそれに呼応して高く設定していくマウリシオ・ポチェッティーノ前監督のやり方から、今季はブロックを作りながら球際にアプローチしていくやり方に変化。それは奇しくも、代表におけるザックスタイルからアギーレスタイルへの変化と重なるところがある。