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アギーレとクーマン、2つの“新体制”。
吉田麻也が直面する異なる課題とは。 

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西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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photograph byAFLO

posted2014/09/25 16:30

アギーレとクーマン、2つの“新体制”。吉田麻也が直面する異なる課題とは。<Number Web> photograph by AFLO

レギュラーの座を掴みかけたタイミングで、接触により靭帯を痛めてしまった吉田麻也。サウサンプトンは5節終了時点で2位と好調で、苛烈なレギュラー争いは始まったばかりだ。

代表では中心、クラブでは競争の渦中に。

 ただ、吉田の代表での立場とサウサンプトンでの立場は、少し異なる。どちらの指揮官にとっても信頼の置ける存在であることは間違いないようだが、その深度はやはり違う。

 プレミア開幕から3試合連続で先発出場した吉田だったが、その間にもチームはセンターバックの補強を行なった。ルーマニア代表のフローリン・ガルドシュ、ベルギー代表のトビー・アルデルバイレルトが加入し、キャプテンのジョゼ・フォンテと吉田を含めた4人が同ポジションで競い合う状態になっている。

2つの新体制に順応するために。

 実際、代表2連戦の直後に行なわれたニューカッスル戦で、吉田は今季初めてベンチスタートとなった。日本からのロングフライトによる疲労が直接の理由だったが「絶対に新戦力を試すタイミングは来る」と吉田も覚悟していたように、指揮官はアトレティコ・マドリーから呼び寄せたアルデルバイレルトを実戦で試した。

 次節のスウォンジー戦を前にアルデルバイレルトが負傷し、再び吉田は先発で復帰。しかし、今度はその試合の途中で吉田も負傷してしまった。W杯でも対戦しゴールを決められたコートジボワール代表FWのウィルフリード・ボニーの強烈なタックルが左足首に入り、そのまま途中交代。今週23日に行なわれたリーグカップ・アーセナル戦も欠場した。

 本人は「大丈夫です」と気丈に話すが、靭帯が腫れた状態だという。サウサンプトン側も負傷にはデリケートになっており、すぐに復帰することは難しい状況かもしれない。

 吉田にとっては、ピンチとチャンスの両方を味わった1週間でもあった。ライバル共々負傷してしまったことで、今後のポジション争いの行方はまだ見えてきていない。

 この9月、代表とクラブでそれぞれの新体制が動き出し、吉田は心身ともに多忙な日々を過ごした。かたやリーダー的な立場を任され、一方では激しいポジション競争にさらされている。ここからも続いていく、片道約12時間の両国間フライト。代表とプレミア。吉田はその都度、2人の監督の顔を思い浮かべながら、適合していくためにスイッチを切り替えていく。

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