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マキロイが象徴した「ゴルフの基本」。
脱落競争を制し、メジャー大会連勝。
posted2014/08/11 16:30
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
Jun Hiraoka
全米プロの舞台、バルハラGCを象徴するシグネチャーホールは、グリーンの奥手に美しい滝が配された13番なのだそうだ。
確かに写真を撮るには、ここが一番美しい。だが、試合においてカギになったホール、全米プロという戦いを象徴するホールは13番ではなかった。
距離的にタフなバルハラは選手たちにパワーを要求してくるコースだが、単に飛ばせばいいわけではなく、頭脳プレーも求められる。ときには第1打の距離を抑え、2打目で飛ばして勝負をかける戦い方も必要で、その典型がホールの半ばをクリーク(小川)が横切る6番だった。パワーと頭脳のコンビネーションでスコアを伸ばせるチャンスホールはパー5の7番、10番、18番だと開幕前には言われていた。
だが、2日目からの雨ですっかり柔らかくなったグリーンは面白いようにボールを受け止め始め、ピンをデッドに狙っていける状態になった。そのため、決勝2日間は激しいバーディー合戦と化し、18ホールのすべてがスコアを伸ばすチャンスを多大に秘めたチャンスホール、シグネチャーホールとなった。
長い年月と莫大な費用をかけて全米プロの舞台にふさわしいコース作りをしてきたはずのバルハラだが、マザーネイチャーは人工の手による仕掛けをどんどん排除していき、最後に残ったのは、大自然にさらされた18ホールのあるがままの姿。
そこで求められた戦い方は、フェアウェイを捉え、グリーンを捉え、カップに沈め、誰よりも少ない打数でホールアウトするというゴルフの基本に立ち戻るプレーだった。
タイガーが去り、若い選手たちに注目が集まった。
バルハラの舞台の上で戦った戦士たちの中で、今年の全米プロを象徴する選手として期待されたのは誰だったのか。
開幕前にすべての注目を独占していたのはタイガー・ウッズだった。が、予選落ちしたウッズは、以後は話題にも上らず、代わってバルハラの象徴となり始めたのはローリー・マキロイ、ジェイソン・デイ、リッキー・ファウラーといった若くて華のある面々だった。
マキロイは7月の全英オープンを制し、2週後のブリヂストン招待も制し、この全米プロを勝てば、メジャー4勝目を達成することになる。ファウラーは今年のマスターズで5位、全米オープンと全英オープンではどちらも2位になったばかり。「今回こそ」が期待された。