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ウッズ時代の終焉は直接対決で。
マキロイが全米プロで狙う「玉座」。
posted2014/08/07 11:40
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
Jun Hiraoka
今季最後のメジャー、全米プロ開幕を明日に控え、会場となるバルハラGCには朝から「ローリー! ローリー!」の掛け声が鳴り響いていた。
英国のロイヤルリバプールで全英オープンを制覇し、メジャー3勝目を挙げてグランドスラム達成に王手をかけたローリー・マキロイは、先週は米国の地でブリヂストン招待を制し、自身初の世界選手権シリーズのタイトルと世界ランキング1位の座を手に入れたばかりだ。この全米プロでも優勝すれば、ビッグタイトル3つを続けざまに制するトリプルクラウン達成となる。
もはやマキロイの勢いは誰にも止められない。狂喜するファンの間を大勢の警備員たちにガードされながら堂々と笑顔で通り抜ける様は王者の風格。バルハラには、そんなマキロイ旋風が吹き荒れていた。
だが、その風向きは一瞬にして変わった。
「もうすぐタイガー・ウッズが来るぞ。2時から練習ラウンドするらしいぞ」
水曜日の正午ごろ。そんな一報が伝わった瞬間から、バルハラはウッズ一色になった。クラブハウス前もウッズ専用の駐車スペース前にもメディアの大群が待機。関係者や警備員たちの間には緊張が走り、ピリピリと張り詰めた空気に包まれた。その様子から観衆は「タイガーが来るの?」と期待を膨らませ、ついさっきまで「ローリー! ローリー!」と叫んでいたギャラリーたちが「タイガー? タイガー?」と唱え始めた。
その様変わりぶりが、ウッズの存在感と影響力の相変わらずの差を如実に物語っていた。
プレーオフ進出をかけ、下位からの復活を目指すウッズ。
なぜ、開幕前日のこの日、バルハラでウッズへの注目がそこまで高まっていたのか。
3月末に腰の手術を受け、戦線離脱していたウッズは、復帰3戦目となった前週のブリヂストン招待最終日のラウンド中、傾斜地からショットした際に体勢を崩し、腰を痛めて途中棄権したばかりだ。
この全米プロで優勝すれば、今は下位に沈んでいるフェデックスポイントを一気にアップさせ、シーズンエンドのプレーオフ4戦へ進むことができる。だが、今大会欠場となれば、プレーオフ進出は叶わなくなり、ウッズの今季そのものが、このまま終わってしまう。だからこそ、バルハラで戦えるかどうかに注目が集まっていた。