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マキロイが象徴した「ゴルフの基本」。
脱落競争を制し、メジャー大会連勝。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byJun Hiraoka
posted2014/08/11 16:30
メジャー大会を連勝し、PGAランキングもバッバ・ワトソンに1000ドル差に迫る2位。「マキロイの時代」は確実に近づいている。
マキロイは10番以降、1つもミスをおかさなかった。
マキロイがそんなふうに勢いづいた後半、ファウラーとミケルソンが不甲斐ないプレーで押されていたのかと言えば、そんなことはない。どちらも見せ場を作り、勝利を予感させ、大観衆を沸かせた。
ファウラーの16番のパーセーブは見事だった。ティショットを大きく右に曲げ、隣の15番のフェアウエイから25ヤードもフックさせながら木々を抜いてグリーンを捉えた第2打は圧巻だった。ミケルソンが17番でグリーン奥から50cmへ寄せた第3打、30cmへ寄せた18番の第3打も観衆をドキドキさせてくれた。
2人とも、そんな見せ場を作ったけれど、ここぞという場面で求められたバーディーやイーグルを奪わない限り、どんなに力を振り絞り、どれほど見事な見せ場を作っても、スコアや順位は上がらない。
その反面ミスをおかせば、どんなに小さなミスであっても、それは簡単にスコアや順位に影響し、時として小さなミスが取り返しのつかないミスになる。
ファウラーは14番のボギーで「勝てると感じられた最終日」を惜敗の最終日に変えてしまった。ミケルソンは「16番のボギーが致命傷だった」と唇を噛んだ。
そして、マキロイは出だしこそ2つのボギーが先行したが、「ここぞ」の場面となった10番、13番、17番で見せ場を作り、求められるスコアを出した。ターニングポイントの10番以降、ミスは1つもおかさなかった。それが、勝者と敗者の違いだった。
最終日のスコアは、マキロイとファウラーが同じ68、ミケルソンはそれより2打もいい66だった。それでもマキロイが勝者に輝き、ファウラーとミケルソンが敗者になったことは、ゴルフが4日間の戦いであることの証だ。
終わってみれば、何から何までゴルフの基本を象徴するシグネチャー・トーナメントの様相。
今年の全米プロは、そんな戦いだった。