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マキロイが象徴した「ゴルフの基本」。
脱落競争を制し、メジャー大会連勝。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byJun Hiraoka
posted2014/08/11 16:30
メジャー大会を連勝し、PGAランキングもバッバ・ワトソンに1000ドル差に迫る2位。「マキロイの時代」は確実に近づいている。
脱落競争の様相を呈した優勝争い。
3日目を終えたとき、首位に立っていたのはマキロイ。ファウラーは2打差の3位につけ、ファウラーと同組で回るのは、すでにメジャー5勝を挙げている44歳のフィル・ミケルソン。優勝争いの中心選手たちは豪華で胸躍る顔ぶれになったが、彼らの胸の中には、それぞれの思いがあった。
ファウラーは「今のショット、今のパット、今のゴルフはグッドな状態。だから明日は何も変えず、今のゴルフで戦う」と言った。
ミケルソンは「今季は優勝争いに絡んでおらず、優勝争いに不慣れになっているから、明日の最終日はナーバスになるはず」と身構えた。
そしてマキロイは「単独首位で迎える最終日のプレーには、追撃をかけるゴルフのようなフリーダムがない。でも、一番後方から前方とリーダーボードを眺め、すべてを把握しながら冷静さを保ってプレーしていく」と静かに勝利への渇望を語った。
思いはそれぞれだった。しかし勝つために求められるのは、フェウアェイとグリーンを捉え、カップに沈め、一番少ない打数で上がること。
「明日はシュートアウトになる(脱落競争)。バーディー合戦になる」(マキロイ)
そこに、すべてが集約されていた。
ファウラー、ミケルソンも一度は首位に立ったが……。
約2時間の雷雨中断をはさみ、最終組のスタートは午後4時19分までずれ込んだ。待って待って、ようやくティオフした上位選手たちは、待ってましたと言わんばかりにスコアを伸ばしていった。
勢いがあったのはファウラーだった。3番からの3連続バーディーで、いきなり単独首位に躍り出る。ミケルソンも勢いづき、前半で4つスコアを伸ばしてその時点で首位に。一方でマキロイは3番で3パットのボギーが先行し、6番では2メートルのパーパットを外して再びボギーを喫し、一度は4位まで後退していった。
だが、第2打をピン2.5メートルに付け、イーグルを奪った10番が転機になった。
「あの10番がすべてを変えるターニングポイントになった」
自ら流れを変えたマキロイは13番でもバーディーを奪って、この日初めて首位に返り咲くと、17番では第2打をピン3メートルに付け、さらなるバーディー。2位との差を2打へ広げ、勝利に大きく詰め寄った。