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社会人野球の育成力は半端じゃない!
都市対抗で見つけた2人の好素材。 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph bySPORTS NIPPON

posted2014/08/01 10:50

社会人野球の育成力は半端じゃない!都市対抗で見つけた2人の好素材。<Number Web> photograph by SPORTS NIPPON

7月27日の準々決勝、対日本新薬戦に7回途中から登板、1回1/3を完璧に抑えた富士重工業の石崎剛。無名の高校で投げていた頃から注目されていた才能が、ようやく花開こうとしている。

大瀬良大地の同級生、狭間も素質は破格。

 もう1人の狭間は'91年10月生まれで、出身大学は九州共立大学。と言えば広島の新人、大瀬良大地と同級生である。九州共立大の1年先輩には'12年のドラフト会議でロッテから2位指名された川満寛弥もいる。チームメイトだった大瀬良は大学通算38勝を挙げ、1年先輩の川満は17勝しているから狭間が勝ち星を挙げるスキはまったくなさそうに見える。事実、九州共立大では1勝もしていない。

 しかし、社会人野球はそういう人材でも許容する。7月23日の都市対抗2回戦、三菱日立パワーシステムズ横浜対Honda熊本戦、0-4でリードされた7回表にHonda熊本の5番手としてマウンドに上がった狭間は4番の佐々木勉にいきなり153kmの快速球を投げ、それをセンター前に弾き返されて2度びっくりした。

 石崎同様、ストレート以外の変化球を投げたのを見た覚えがなく、ただただいい投球フォームで速いボールを投げるピッチャーだという印象が強く残った。まだ一本調子だが素質の埋蔵量は破格である。

野茂英雄、落合博満、という社会人出身の2人。

 この2人を見て思い出したのが野茂英雄(新日鉄堺→近鉄→ドジャースなど)と落合博満(東芝府中→ロッテなど)である。

 野茂は大阪の無名校、成城工を卒業後、先輩の口添えでセレクションを受け、素質が認められて新日鉄堺に入社した。三冠王を3度獲得した落合は秋田工時代、野球部を7回入・退部を繰り返し、進学した東洋大では先輩・後輩の上下関係に嫌気がさし、半年で退部したという逸話を持つ。そういうアウトローでも素質があれば社会人野球は受け入れ、ピカピカの一級品に作り替える。石崎と狭間にも2人の偉大な先輩に共通する匂いがある。

 さて、'81年以来、都市対抗の覇権を握ってきたのは東京周辺(東京、神奈川、埼玉、千葉)のチームである。'79、'80年に三菱重工広島(広島)、大昭和製紙(静岡)が優勝して以来、東京周辺のチームが2年連続して優勝しなかったことは一度もない。

【次ページ】 1998年以降、東京周辺のチームが優勝を独占。

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