詳説日本野球研究BACK NUMBER
社会人野球の育成力は半端じゃない!
都市対抗で見つけた2人の好素材。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph bySPORTS NIPPON
posted2014/08/01 10:50
7月27日の準々決勝、対日本新薬戦に7回途中から登板、1回1/3を完璧に抑えた富士重工業の石崎剛。無名の高校で投げていた頃から注目されていた才能が、ようやく花開こうとしている。
激しい生存競争か、人材の潰し合いか。
今大会の東京周辺勢の成績は次の通りだ。
JX-ENEOS……3勝1敗(ベスト4進出)
NTT東日本……3勝1敗(ベスト4進出)
東京ガス……3勝1敗(ベスト8進出)
JR東日本……2勝1敗(ベスト8進出)
Honda……1勝1敗
新日鉄住金かずさマジック……1勝1敗
三菱日立パワーシステムズ横浜……1勝1敗
JFE東日本……0勝1敗
東芝……0勝1敗
セガサミー……0勝1敗
合計14勝10敗(勝率.583)は悪くないが、4強を独占した昨年は東京周辺から9つのチームが出場し、18勝8敗(勝率.692)という好成績を残している。勝率1割以上の低下は勢力図の変化を示唆していると言ってもいいと思う。
覇権の東京周辺への一極集中は、限られた好素材が東京まわりに集中することにもつながる。激しい生存競争がプラスに作用することもあるが、人材の潰し合いでただでさえ数少ない好素材が消えていく危険性をも孕んでいる。私は後者を憂う者なので、今年のような東京周辺勢の動向と、地方チームの躍進はいいことだと思っている。
昨年のドラフトでは、5人が社会人から1位指名。
昨年は社会人野球から好選手が多数生まれ、ドラフト会議では吉田一将(JR東日本→オリックス)、柿田裕太(日本生命→DeNA)、加治屋蓮(JR九州→ソフトバンク)、石川歩(東京ガス→ロッテ)の各投手と、野手の小林誠司(日本生命→巨人・捕手)が1位指名された(以下、成績は7月30日現在)。
この中では石川が6勝5敗の好成績でパ・リーグ新人王レースを牽引し、吉田も出遅れたがチームの勢いに引っ張られ4勝1敗と石川に迫っている。