リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
リーガ3強、三者三様のコンセプト。
大移籍が吉と出るのはどこなのか。
posted2014/07/30 11:00
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
AP/AFLO
この夏は補強が盛んに行なわれている。
懐に余裕のない、いつもなら登録期間終了間際まで大人しくしているクラブが積極的に動いている。
下克上を企んでいるのかと思うと、新シーズンの開幕がますます待ち遠しくなるので、ファンにとっては嬉しい傾向だ。
とはいえ、気になるのはやはり上位陣の動向だろう。
王者アトレティコ、昨季は6年ぶりの無冠に終わったバルサ、そしてCL覇者マドリー、三者も順調に強化を進めているが、方針が大きく異なるためこちらも面白い。
たとえばアトレティコの場合、「昨季のチームの再建」が補強のテーマになっている。リーガ優勝とCL準優勝で欧州全域から注目された結果、主力数人を失ったからだ。
それゆえ、ジエゴ・コスタの代わりとして、マンジュキッチ(バイエルン)を獲った。またフィリペ・ルイスの代わりとしてシケイラ(グラナダ)とアンサルディ(ゼニト)を揃えた。クルトワの代わりはオブラク(ベンフィカ)で、ビジャとアドリアンの役割はレアル・ソシエダから入団したグリエスマン1人に任せるつもりだ。
7月末の時点で穴埋めはひととおり終わっているが、関係者によると、アトレティコは今後さらに守備陣に1人、中盤に1人、攻撃陣に2人(ウイングとセンターフォワード)を加えるという。リーガ連覇を狙う意思表示ととってよかろう。
バルサは実質ゼロからのスタートとなる抜本的改革。
次に、バルサが行なっているのは5月末のバルトメウ会長の言葉どおりの「抜本的改革」だ。
黄金時代の支柱であったビクトル・バルデスとプジョルの退団自体、チームが一変するきっかけとなり得るが、そこに新監督ルイス・エンリケのアイデアが重なった。
ルイス・エンリケの改革の手は勤続20年の名物フィジカルトレーナーにまで及んでいるので、新生バルサがどんなものになるのかは蓋を開けるまでわからない。
しかし、新加入組はベテランと若手の混合という特徴がある。前者はラキティッチ(セビージャ)やマテュー(バレンシア)、ルイス・スアレス(リバプール)、ブラボ(レアル・ソシエダ)。後者はテア・シュテゲン(ボルシアMG)やルイス・エンリケがバルサB時代、配下に置いていたラフィーニャ(セルタ)、デウロフェウ(エバートン)だ。
実質ゼロからのスタートとなるだけに、この三者の中で、バルサは最も楽しみなチームといえる。