リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
リーガ3強、三者三様のコンセプト。
大移籍が吉と出るのはどこなのか。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byAP/AFLO
posted2014/07/30 11:00
新監督のルイス・エンリケは現役時代、レアル・マドリーからの移籍というタブーを破りながら、最後はキャプテンを務めるほどにバルセロニスタから愛された選手だった。
マドリーのコンセプトは「W杯のスター獲得」。
最後に、マドリーの今年の強化コンセプトはずばり「W杯のスター獲得」だろう。大会が終わった途端、バイエルンのクロース入団を発表し、続いてモナコのハメス・ロドリゲスを買い取った。マーケティング/マーチャンダイジングの面では成功間違いなし、中盤の戦力増強という点でもこれ以上ない補強だ。あとは誰をどこで、誰と組ませてどうやって使うかをアンチェロッティが悩むだけである。
ただし一方で、マドリーは問題を抱えつつもある。カシージャス、ディエゴ・ロペスというレギュラークラスのGKが2人いるにも拘わらず、W杯で大活躍したコスタリカ代表GKケイロル・ナバスを押さえてしまったからだ。
カシージャスとディエゴ・ロペスの行方は?
マドリーとしては、33歳のカシージャスか32歳のディエゴ・ロペスに出ていってもらいたい。そのため2人には移籍しやすい状況を作っている。
カシージャスに対してはちょうと1年ほど前、ペレス会長が次のように約束したという。
「'13-'14シーズンが終わるまでチームに留まるのであれば、その後は無償で移籍を認める」
モウリーニョ監督時代、屈辱的な扱いを受けたカシージャスがマドリーを去る決心をしたのを感じ取ってのことだったのだろう。
またディエゴ・ロペスに対しても、タダではないにせよ、わずかな移籍金しか求めないことを約束している。
ところがW杯の失態のせいか、昨季のパフォーマンスのせいか、カシージャスには好条件のオファーが届かない。
ディエゴ・ロペスにはナポリやモナコへ行くという噂が流れたが、7月半ば「'07年にマドリーを出ざるを得なくなったけれど、昨年戻って、ようやくポジションを得たのだから」再び出ていく気はないと明言している。