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「栄光のメンバー」から若手たちへ。
なでしこ、世代融合のアジア杯優勝。
posted2014/05/26 11:20
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
AFLO
試合終了のホイッスルが鳴ると、なでしこたちはすがすがしい笑顔で抱擁を繰り返した。経済成長の熱気溢れるベトナム・ホーチミン市。高温多湿のトンニャットスタジアムで行なわれた女子アジアカップ決勝で、日本はオーストラリアを1-0で下し、初優勝を遂げた。
'11年女子ワールドカップを制し、'12年ロンドン五輪では銀メダルに輝いた日本だが、アジアカップ優勝とは一度も縁がなかった。
「優勝するためにここに来た」
その目標に向かって全員が心を重ねた結果、14度目のアジアカップ挑戦にして初めて頂点に立ったのだ。
就任以来、3位が2度続いていた佐々木則夫監督は、「3位、3位ときていたのは、僕がこの大会と縁がなかったから。ようやく3度目の正直で優勝できた」と胸をなで下ろした。
昨年7月の東アジアカップでは2位に終わって涙を流したキャプテン宮間あや(岡山湯郷)は、「頑張った結果の優勝なのでうれしい」と相好を崩した。9度目の出場で初めて頂点に立った澤穂希(INAC神戸)も笑顔を見せた。
GL初戦では引き分け、大儀見不在の決勝戦。
オーストラリアとの試合は、2-2と引き分けたグループリーグ(GL)初戦から11日後というタイミングでの再戦だった。GLでは一時0-2とされたものの、途中から出た大儀見優季(チェルシー)の同点ゴールで勝点1を奪取したが、大儀見は大会前の取り決め通り、GL終了後に所属クラブに戻った。
ここで自ずと注目されたのが、エース不在による攻撃力ダウンを誰がどのようにして埋めるかということ。同一大会中に同じ相手と試合するのだから比較は容易い。結果次第では「大儀見がいないとダメ」という声が聞こえてくることも予想できる。だからこそ、攻撃陣は燃えた。加えて、大会途中にチームを去らざるを得なかったエースの気持ちもしっかり胸に刻んでいた。