栄光のメンバーから受け継いだ“勝者のメンタリティー”。

　決勝のオーストラリア戦ではワールドカップや五輪を経験していない選手が先発11人の中に中島依美（INAC神戸）、有吉佐織（日テレ）、川村優理（仙台）と3人いた。優勝が決まった瞬間にピッチに立っていたメンバーを見ても、途中出場の菅澤優衣香（千葉）、後藤三知（浦和）、吉良知夏（浦和）はこの2大会を経験していない選手だ。

　その一方で、MVPに輝いた宮間、澤、大儀見、岩清水、川澄奈穂美といった栄光のメンバーたちには、まだまだワンランクもツーランクも上の存在感がある。結果的に、決定的な仕事をしたのもベテラン勢。しかし、今大会のなでしこは若手だけでもなく、ベテランだけでもない。新旧メンバーの融合が導いたVロードだったことに意味がある。

　チーム最年少18歳のDF乗松瑠華（浦和）は延長戦を制した中国との準決勝の後、「最後まで諦めない姿勢というものを生で見ることができた。すごい刺激になった」と興奮冷めやらぬ口調で話していた。

　25人全員が出場したアジアカップ。優勝という結果はもちろんのこと、若いメンバーがベテラン勢からしっかりと“勝者のメンタリティー”を受け継いだことが、最大の収穫なのかもしれない。