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「栄光のメンバー」から若手たちへ。
なでしこ、世代融合のアジア杯優勝。 

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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posted2014/05/26 11:20

「栄光のメンバー」から若手たちへ。なでしこ、世代融合のアジア杯優勝。<Number Web> photograph by AFLO

左右の足でFKを蹴り分けるなど、ピッチ上の指揮官として活躍し、大会MVPに輝いた宮間あや。日本はチームとしてもフェアプレー賞を獲得した。

『点は“取る”のではなく“取れる”もの』

 4-2-3-1のワントップで先発した高瀬愛実(INAC神戸)は、「大会に入って得点がなく、悩んでいたときに大儀見さんから『点は“取る”のではなく“取れる”もの』と声を掛けられて気持ちが楽になった」と言い、オーバーヘッドシュートなどで得点を狙った。

 GL初戦で見せた、どこか自信のなさそうな様子は影を潜め、ときにサイドまでながれてボールを受けるなど幅広いプレーで攻撃を活性化させた。GL3試合だけのためにイングランドからベトナムに飛んで粉骨砕身した大儀見から、技術や姿勢を学んでいたのだ。

 すると、初戦とは打って変わってアグレッシブなプレーを見せる日本の前に、前回の覇者であるオーストラリアは徐々にリズムを失っていく。失点してからはデバンナやカーらがカウンターから日本ゴールを脅かすようになっていったが、なでしこたちは体を張った守備で防いだ。

 日本に待望の先制点が生まれたのは前半28分。準決勝の中国戦の延長後半に値千金の決勝ゴールを記録した岩清水梓(日テレ)が、決勝でも大仕事をやってのけた。

 宮間から宇津木に出したショートコーナーから、宇津木がファーサイド深くへ山なりのクロスを上げる。落下点にいち早く入った岩清水が頭で合せると、2戦連続のヘディングシュートは2戦連続で決勝ゴールとなった。ベンチでは選手全員が立ち上がって大喜びしていた。

若手を多く招集し、ターンオーバーも実行。

 若い選手が多く加わったこの顔ぶれで、悲願のアジアカップ優勝を成し遂げたことには大きな意味がある。佐々木監督は今回、招集を希望していた6人の海外クラブ所属選手を呼べなかったという事情から、多くの若手を呼んだが、代表メンバー発表の時点では「若手は期待を込めた部分が大きい」という選考理由を話していた。

 ところが大会の日程は、グループリーグが中1日で3試合、大会全体でも12日間で5試合という極めてハードなスケジュール。気温は昼間で35度、夜でも30度前後という過酷な環境でもある。

 そんな中、若いメンバーが日に日に多くのことを吸収しながら成長していく姿が新鮮だった。指揮官は、GL第3戦のヨルダン戦で先発11人全員のターンオーバーを敢行。合宿中の練習ぶりや戦術理解度から「行ける」と判断したものであり、この時点で若い選手達は「期待」の存在から「戦力」となっていた。また、第3戦で主力の多くが休むことができたことが準決勝や決勝の運動量にもつながっていった。

【次ページ】 栄光のメンバーから受け継いだ“勝者のメンタリティー”。

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