日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
サプライズの香りが漂い始めている。
発表まで1カ月、ザックの「探し物」は。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byKenzaburo Matsuoka/AFLO
posted2014/04/18 10:50
国内組を集めた合宿には、常連組ではなく初招集を含むフレッシュなメンバーを多く呼び集めたザッケローニ監督。最後の名前が呼ばれるまで、緊張感を持ったサバイバルは続いていく。
ザックはセンターバックの「高さ」を無視していない。
続いて「足りない要素」に話を移していきたいと思う。
どうしても目につくのが、「高さ」だ。
コートジボワールやギリシャが高さを使って押し込んできたときに、守備をどうするか。センターバックは森重が空中戦に強いとはいえ、吉田以外は世界的に見ても長身の部類には入らない。
ザッケローニはアジアカップのとき、岩政大樹の高さというオプションを持っていた。オーストラリアとの決勝戦ではロングボール対策で岩政を途中から投入し、今野を左サイドバックに、長友を一列前に上げるという処置で打開を図ろうとした。このことを思い出しても、指揮官はセンターバックの「高さ」を無視してはいまい。
となると、185cmオーバーで、はね返すことに長けた田中マルクス闘莉王、中澤佑二の“南アフリカコンビ”が招集される可能性がまったくないとは言い切れないのである。“元常連”の栗原勇蔵も「高さ」の観点から候補に入る。
「高さ」なのか、それとも3バックの適性を含めたユーティリティー性なのか。どちらを重視するかが、センターバックを選考するうえで大事なポイントになってくる。
攻撃面でも高さを求めるなら、2列目の1枚を削って185cmの豊田陽平、194cmのハーフナー・マイクという選択肢もないわけではない。セットプレーの守備対策としても効果はあるが、ここ最近の指揮官は攻撃陣の高さより、連携面を重視しているようにも映る。
もう一つの足りない要素は、ベテランの経験。
「足りない要素」でもう一つ言えば、キャリアのあるベテランだろうか。
W杯ではサブから支えるベテランの存在がクローズアップされてきた。2002年日韓W杯の秋田豊、中山雅史然り、2010年南アフリカW杯の川口能活然り。サブの立場からチームを支えていく重要な役割だ。スタッフの意見に対しても聞く耳を持ってきたザッケローニなら、W杯で結果を残せたこの2大会を参考にしてくることも十分に考えられる。
ところが今、主力の遠藤以外にその役割をこなせる選手が見当たらない。W杯経験者である中村憲剛、大久保嘉人、先ほど名前を出した中澤、闘莉王もその範疇に入る。中村憲はこれまでもずっとサブの立場からチームを支えてきたし、大久保はセレッソ時代、香川、柿谷の兄貴分的な存在でもあった。中村憲と大久保は、川崎フロンターレで調子もいい。
今のチームでドイツ、南アフリカ2つのW杯を経験しているのは遠藤ただ一人。ドイツの悔しい経験を味わっているという意味では、サイドバックの駒野友一という存在も浮かび上がってくる。東アジアカップではザッケローニからキャプテンを任されているという側面もある。
ベテランではなく、チームを盛り上げる意味で槙野智章、森脇良太たちがそういった役割を担うという考え方もあるだろう。戦いは1カ月にも及ぶだけに、団結力、組織力をより強固にする人材を入れてくる可能性は十分にあるように思う。