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ロッテ・井上晴哉は大成するか?
“アジャ”がプロでも大砲になる条件。 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2014/03/05 12:20

ロッテ・井上晴哉は大成するか?“アジャ”がプロでも大砲になる条件。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

石垣島キャンプで、力感あふれるスイングを見せた“アジャ”こと井上晴哉。社会人の大砲は、プロでもアーチを量産できるか。

パワーは後からつくが、ミートセンスは難しい。

 プロ野球の歴史を紐解けば、「当たれば飛ぶ」という打者は星の数ほどいた。だが、その多くは大成せずにプロ野球界を去った。

 小笠原の例とそれらの例は、力は後からつけることができても、ミートするセンスを身に付けるのはプロに入ってからでは遅いということを物語っている気がする。

 プロで長距離打者として大成するためには、パワーがある、というだけでは通用しない。それ以上に大事なのはミート力なのだ。

 その典型が、高卒ではあるが中村剛也だろう。

 大阪桐蔭高校時代は、監督の西谷浩一が「空振り三振した記憶がない」というほど当てるのがうまいバッターだった。その能力を犠牲にしてまで飛距離にこだわった結果、現在のようなホームランのスペシャリストになれたのだ。

 パワーばかりが注目される日本ハムの中田翔もそうだ。中田も元来、とても器用な選手だ。打者に転向し、フォームをしょっちゅう変えていた頃は、その器用さが成長を阻害しているのではないかと言われたほどである。

好データが揃う井上、ライバルは外国人打者だ。

 そういう意味では井上も好データがそろっている。中央大学時代は1年春から4番を打ち、常に打率上位をキープしている。2年春から3年秋までは3シーズン連続で4割を超え、3年秋には5割をマークした。

 プロ入り後も右打ちがうまいと絶賛されるように、「剛」だけでなく「柔」も見せつけている。

 ただし、柔らかければいいというものでもないと語っていたのは、DeNAの監督の中畑清だ。かつての教え子である松井秀喜と、現在の教え子で、なかなかスラッガーとしての才能が開花しない筒香嘉智を比較し、こんな話をしていたことがある。

「入団時の松井は真っ直ぐは滅法強いけど変化球が弱かった。逆に筒香は変化球なんかはうまいけど、真っ直ぐに弱い。柔らかすぎるんだよね。スラッガーとしてはやっぱり松井のようにストレートに強いという方が魅力あるし、将来性を感じる。経験を重ねれば変化球は対応できるようになるから」

 なかなかに「スラッガー道」は奥深い。

 とはいえ、結論として、井上は、そこそこ打つのではないか。大変なのは、井上の場合は「そこそこ」ではダメだというところだろう。

 なぜなら一塁手だからだ。プロ入りが遅れたのも、ドラフト5位と下位指名に甘んじたのも、一塁しか守れないという点が響いた。一塁は基本的に「外国人枠」だ。DHもしかり。井上が生き残るには、外国人並みに打たなければならない。打つことは打つだろうが、そのハードルを越えるのはなかなか難しそうだ。

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