野球クロスロードBACK NUMBER
ホームランから見放された2年間。
広島・栗原健太、豪打を取り戻せるか。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2014/03/04 10:40
全試合に出場した2011年には、17本のホームランを放った栗原健太。昨年、一昨年は出場試合数も激減している。自身のキャリアハイ、2007年の25本塁打を越えることはできるか。
高橋慶彦氏が語る守備とバッティングの相関関係。
栗原と石井コーチが言うように、守備の練習に重きを置くことは、打撃にも大きな相乗効果をもたらしてくれるのだ。
それは体のキレ。
先日上梓した『赤き哲学』(KKベストセラーズ刊行)で、<栗原はこれからもカープを支える存在にならなければならない>と栗原の復活を望む広島OBの高橋慶彦氏は、守備と打撃の相関関係に加え、栗原への提言を技術的に論じてくれたことがあった。
「内野の送球の基本は体重移動。下半身と腰をしっかりと使って、右から左へスムーズに重心を移動させながらスローイングしないと、ちゃんとしたボールを放ることなんてできない。そうすることでバッティングにも生かされてくるから。軸足の部分だけじゃなくて踏み出す前側の動作も大事です。
右足重心からスムーズに左足へ体重移動させる動きを意識した練習をすれば土台がしっかりできるしパフォーマンスだってよくなる。栗原は右ひじに不安を抱えているけど、結果が出ないのは土台を作っていないから。地味な練習かもしれないけど、守備も含めてそういう動作を意識していれば打てるようになるはずだよ」
土台を形成するためにうってつけの「ペッパー」。
キャンプ序盤から精力的にバットを振り、フリー打撃では柵越えも目立った。再びサードに挑戦したことで栗原の体のキレは戻りつつある。
それでも実戦で結果が出ていないのは、おそらく高橋氏が言う「土台」が形成されていないからかもしれない。
高橋氏いわく、手っ取り早く体重移動をスムーズにさせる練習のひとつに「ペッパー」があるという。
山なりの緩いボールに対し、ミートポイントを意識しながらワンバウンドのゴロで相手に打ち返す――。体の前後の筋肉がうまく連動していなければフライになるなど、強く、正確な打球を返すことができない。単調ではあるが、基礎を見つめ直すにはうってつけの練習。それがペッパーだ。
高橋氏がロッテのコーチ時代、教え子である西岡剛や今江敏晃が不振に陥った際には必ずペッパーを命じ、幾度となくスランプから救った実績があった。それだけに、氏の言葉には説得力がある。