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ホームランから見放された2年間。
広島・栗原健太、豪打を取り戻せるか。 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2014/03/04 10:40

ホームランから見放された2年間。広島・栗原健太、豪打を取り戻せるか。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

全試合に出場した2011年には、17本のホームランを放った栗原健太。昨年、一昨年は出場試合数も激減している。自身のキャリアハイ、2007年の25本塁打を越えることはできるか。

 本格的な実戦調整に突入した2月下旬。栗原健太は、野村謙二郎監督から分かりやすい言葉で発破をかけられたという。

「健太らしいバッティングを取り戻してほしい。結果を残してもらわないと困る」

 日南キャンプで行なわれた紅白戦4試合で10打数4安打3打点と順調な仕上がりを見せていただけに、この時の指揮官の言葉は純粋なエールだったかもしれない。

 しかし、現実とは厳しいものだ。

 22日から3月1日(3月3日現在)までの対外試合の成績は17打数2安打2打点、打率1割1分8厘で本塁打に至っては0本。通算153本ものアーチを描いてきた主砲の結果としては、あまりにも悲しすぎる。

「シーズンに入ったら、全員が『よーいどん』ですから」と、野村監督はあくまでも競争を促す。

 そうは言っても、結果を出せていない栗原の現状を鑑みれば、「結果を残してもらわないと」といった当初の励ましさえも、最後通告に似た響きへと変わりそうなのも事実。

 広島の絶対的なレギュラーとして君臨してきた男が、今、野球選手としての岐路に立たされようとしているのだ。

右ひじを手術しても、消極的な打撃が続く悪循環。

 新井貴浩が阪神に移籍し、本格的に4番を務めた2008年は、自身初の100打点をマーク。翌年以降もキャリアアップに努めてきた栗原に悪夢が訪れたのは'12年のことだった。

 右ひじ痛。これが、栗原を苦しめた最大の原因だった。

 この年の出場は21試合。5月に行なった手術は成功したが、だからといって右ひじへの不安が払しょくされたわけではない。むしろ、精神面に悪影響を及ぼした。

「いつも通りのスイングをしよう」と思っても、無意識のうちに右ひじを庇いながらバットを振る自分がいる。思考と動作が一致せず、消極的な打席が続く。打撃の調和は乱れ、打てなくなる――。

 '13年は開幕から24試合で59打数12安打、打率2割3厘。5月6日を最後に、一軍メンバーから栗原の名前は消えた。

【次ページ】 昨季加入したキラの活躍で、一塁の定位置を奪われた。

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